きのうから、「ようこそ!ジャパン・ウイーク」だ、と新聞に書いてある。
海外からの観光客を増やそうという主旨の政府の企画らしい。
奈良のお寺では、普段公開していない建物や仏像を公開する。
海外からの観光客にだけ公開するのでしょうか。
新聞には、東大寺や薬師寺などでは、これとこれが見せてもらえます、と書いてある。
興福寺や春日大社では、普段からすみからすみまで完全公開であるせいか、目玉商品がないせいか、興福寺では「宝蔵院流槍術の演武」、春日大社では「舞楽」を見せる、と書いてある。
「宝蔵院流」!
これは、興福寺のものだったのか!
約五十年前、当時大人気の「赤胴鈴之助」の映画を見に行った。
少年剣士赤胴鈴之助が、「悪者」二人を相手に闘う場面。
「悪者」が、なんだか忘れたが卑怯な事をした。
鈴之助が叫ぶ。
「卑怯者!名を、名を名乗れっ!」
悪者は、憎々しげに顔をゆがめてニタリと笑って答える。
「さよう!拙者の名は、火京物太夫!そしてこちらは、宝蔵院流槍の使い手、岳連坊どのだ!」
感激した。
「卑怯者」の名前が、「火京物太夫」!
すばらしー!
この映画で覚えているのはこの場面だけだ。
それにしても、岳連坊どのの「宝蔵院流の槍」が、興福寺のお坊さんが始めたものとは知らなかった。
「宝蔵院流」の槍は、普通の槍と、鎌を組み合わせた恐ろしい武器だ。
創始者は、晩年、こんな事をするのは仏の教えに背く、と言って槍を禁じたそうだ。
当然でしょうね。
「ようこそ!ジャパン・ウイーク」の、「宝蔵院流槍術演武」は僧服を着てやるのだろうが、海外からのお客さんはビックリしますよ。
日本人だって、ローマに行って、「司祭さん」が、「バチカン流槍術!」とか言って、槍を振り回して闘ったりしたらビックリするでしょう。
興福寺でやるのは、やめた方がいいと思います。