若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

キンカン

このところ、家内が作る金柑の甘露煮をよく食べている。
好きなんです。

十数年前、大阪から奈良に引っ越した。
私たちが越した家の前の持ち主は老夫婦で、戦時中や戦後、食べ物に困ったので、庭には実のなる木ばかり植えたと言っておられた。

たしかに夏みかんやゆずなど実のなる木が多かったが、戦時中ではないのでありがたみはなかった。
その中に金柑があって、実がたくさんついた。
で、甘露煮でも、と言うことになって、それ以来の金柑ファンだ。

金柑の木に、青虫を見つけたことがある。
私は、虫のことはまったく知らない。
高校時代の友人で、昆虫マニアのU君に報告した。

U君は、それはアゲハ蝶になると言った。
そして、見つけ次第殺さないと金柑は丸坊主になる、と昆虫ファンらしからぬことを言った。

ほー、アゲハ蝶になるのか。
子供も喜ぶだろうし、飼ってみましょう。
青虫を3匹、プラスティックの箱に入れて飼った。
恐るべき食欲で、音を立てて金柑の葉を食いまくり、見る見るうちに巨大化した。

U君はいろいろ教えてくれた。
青虫をつつくとオレンジ色の角を出すというので、家内を呼んで、巨大青虫をつついてみた。

ギャーッ!
私たちはしりもちをついた。
巨大青虫が派手なオレンジ色の角を出したのだ!
きもちわるいー!

そのうち、さなぎになって、見事なアゲハと黒アゲハが誕生して飛び去った。

毎年、金柑には青虫がついた。
私は、アゲハはえらいなと思った。
金柑がわかっているのだ。

人間が理解しているのとは違う方法で理解している。

人間は、金柑などを「カンキツ類」として分類している。
甘いから「柑橘類」だ。
レモンなど、すっぱいのは「酸橘類」という。
昔は、サンキツ類しかなかったが、品種改良で甘くなったのでカンキツ類ができたのである。

たまに突然変異で甘い実がなるのに気づいた人が、品種改良を始めた。
すぐ甘い実がなるわけはない。
毎年すっぱい実がなって、「今年もすっぱいだ」と思いながらくじけず続けて、やっと甘い実ができたとき、本当にすっぱいは成功の元だと思ったそうだ。

レモンなど、サンキツ類の専門商社で有名なのが、アメリカの「サンキツト社」だ。
「サンキツ」はわかるが、なぜ「ト」がついているのかと思う人もあるだろう。
「ト」がないと入れないからではないだろうか。