仕入先の商社の営業マンから電話。
半年前にウチの担当になった人だ。
むっつりした、固そうな感じの人である。
ウチが使ってる原料が製造打ち切りになるというメーカーからの通知が来たという。
「前もってお知らせいたします」
最近は、品種統合とかでこういう話が多い。
書類を持ってやってきた。
代りの商品を紹介してあるが、試験が必要だろう。
書類を見てちょっと驚いた。
「3月末で製造打ち切り」と書いてある。
ふつう、半年くらいの余裕はあるものだ。
その間に試験をすればいいのだが、3月末では大至急やらねばならない。
なんでも、この商品の原料の中に、「内分泌系かく乱なんとか物質」と認定される恐れのある物質が含まれているらしい。
「それにしても、3月末とはえらい急やねー」と言ったら、営業マンはいつになくうれしそうに笑った。
「はあ、私もそう思ったんです」
「?」
そう思ったんです?
相変わらずうれしそうにしている。
「年号をよく見てください」
見ました。
「2007年3月末で製造打ち切り」
さ、再来年の話か・・・。
営業マンは、ボーゼンとする私を見てニコニコしている。
この男、私をからかいに来たのだな。
引っ掛かるのを楽しみに、いそいそとやって来たのだな。
まあ、こんなこともないとね。
やってられんわね。
うれしさ丸出しで帰る営業マンの背中を見て、いつかこのカタキはとってやるぞと誓ったのであった。