若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

れんこん腹

土曜日、会社の帰り道、葬式の看板が出ていた。
小学校で同級だったK君の名前があった。

彼は元気なガキ大将で、特に親しくはなく卒業以来会っていない。彼に関する記憶はほとんどないが、私のアルバムに彼が写った大きな写真がある。

私たちが校庭で遊んでいる様子を竹田先生がとってくれたものだ。担任でもなかった先生がなぜとってくれたのか。先生は、子供心に「物静かなインテリ」という感じの人だった。

写真は、私たちが「れんこんばら」をしているところだ。
この遊びは、以前インターネットで調べても出ていなかった。男の子に人気のあるとにかく面白い遊びだった。
図でかけば簡単だが言葉で説明するのは難しい。

二チームに分かれてする「跳び箱競技」みたいなものだ。
守備側(?)は、一人が壁にもたれて足を開いて立つ。そのまたぐらに首を突っ込んで「跳び箱」になる。そのお尻からまた首を突っ込んで次々につながって、長い「人間跳び箱」を作る。
その「人間跳び箱」がれんこんみたいなので、「れんこん腹」と言ったのだろう。東大阪市の小学校ではそうだったが、大阪市内の中学校に行ったとき「胴馬」と言っていた。

攻撃側は、猛然と助走して、跳び箱を跳ぶ要領で「人間跳び箱」の上にどしんと乗る。その衝撃で「人間跳び箱」が崩れると、その時点で守備側の負けでもう一度やり直す。できるだけ衝撃を与えるよう、どっすーん!と乱暴に飛び乗らなければならない。
攻撃側がうまく乗れずに落ちると攻撃側が負けで、攻守交替。

一人がうまく乗れると次々に飛び乗っていく。
全員うまく乗れて「跳び箱」も崩れないと、守備側の立っている子と攻撃側の先頭の子がじゃんけんをする。
勝った方が攻撃側になる。

攻撃側の全員がうまく飛び乗るのも難しいし、守備側の全員が衝撃に耐えて崩れないのも難しい。個人技とチーム力が試されるスリルのあるゲームなのだが、説明が大変だ。

写真は、運動能力抜群のK君が切り込み隊長として、すさまじい表情で今まさに宙を飛んでいる迫力満点の瞬間を正面から捉えたものだ。
後ろの方に、二番手としてスタートを切った私が写っている。
その後ろで、皆が期待を込めてK君の跳躍を見つめている。

自分が写った写真で一番好きなのはこれだ。
「子供時代」が写っているのだから誰が見ても好きになると思う。