「内視鏡手術で日帰り」ということで、生まれて初めての手術なのに、ぜんぜん心配してませんでした。
「手術」じゃなくて、「手術みたいなもの」と思ってた。
誤解であった。
私は、大体においてというか全体としてはというか、まあ、かしこい人間なんです。
神様じゃないから、愚かな部分もわずかにある。
そのわずかな愚かさが、どういうわけか、肝心な時にいつも顔を出す。
だから、私を見てる人は、私のことを愚かな人間だと思うであろう。
ちがうんです。
さて、落ち着き払って手術着に着替え、助手のお医者さんに案内されて手術室に向かうあたりから、緊張してきました。
殺風景なんですよ。
壁が工場みたいな色で、いろんな機械が雑然と置いてある。
手術室へ向かうというより、解体工場へ向かう気分になってくる。
手術室への通路は、ピンクか黄色に塗って、アンパンマンなんかが描いてあるといいと思いました。
手術室に入ると、天井に大きな照明器具があるのに気づきました。
わあ〜!テレビといっしょや!
「白い巨塔」なんかでよく見るアレです。
手術台で手足を拘束される。
え?暴れるかもしれんのか?
助手の若者が、「ライトが強烈なんで目をふさぎます」と言って、目隠しをした。
ほっとしました。
見たくなかったから。
なんとなく目を開けてしまったらどうしようと心配してたんです。
そしてその上から、鼻だけ出して顔を覆うシートをかけられた。
手術が始まって驚いたのは、その二重のシートを通して、ライトが感じられたことです。
よほど強烈な光なんですね。
手術前の説明では、ごく小さなペンチのようなもので、ポリープを切り取るということでした。
「チョンチョン」という感じだなと思いました。
ところがである!
「チョンチョン」じゃなかった。
たぶん、先生の手の動きが、骨を伝わって直接耳や脳に響くからなんでしょうが、凄まじい衝撃なんです。
「バチン!!バチン!!バチンバチンバチン!!!」
大きなペンチで骨でも切ってるような感じでした。
なにこれ!?と思いました。
ポリープを切るなんて言って、肋骨でも切ってるんじゃないか。
私は、大体においてというか全体としてはというか、まあ豪胆な人間なんです。
少しはこわがりのとこもあるんですが、肝心なところで、そのわずかなこわがり部分が顔を出してしまう。
恐ろしかったです。
硬直してしまいました。
手足の拘束は必要なかったと思います。
しかし、顔面ていやですね。
負け惜しみのようですが、ボディ部分の手術だったら、もう少し落ち着いてられたんじゃないかと思うんですが・・・。
↓「手術お見舞い申し上げます。裸で失礼」
しょうちゃんより。