若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『コラムばか一代』

私は特に言葉にうるさい方ではないと思う。
「言葉の乱れ」という言い方というか考え方というか、そういうものに疑問を感じる。そういう考え方からすればすべての言葉は乱れっぱなしだろう。
今の日本語を読んだり聞いたりしたら、柿本人麻呂とか紫式部は「なんじゃこれは?」と思うだろう。いや、「こはいかに?」「いとあやし」と思うのかな。

まあ、学校でヘンな言葉を教えるのでなければいいんじゃないでしょうか。町でヘンな言葉を聞いても、ちょっとヘンだなと思って聞き流していればよろしい。ヘンな言葉のうち生き残るのはわずかなものだ。ヘンな言葉の寿命は短い。

こんな私であるが、気になる言葉もある。
新聞の書籍広告で見た本の題名。
『コラムばか一代』

これはなんじゃ?
著者石井英夫さんは産経新聞の記者で、産経新聞のコラム「サンケイ抄」を35年にわたって書いてきた人だそうだ。
日本記者クラブ賞、菊池寛賞などを受賞している。
えらい人のようだ。
「コラムばか」というのはこのえらい人のご謙遜なのであろうか。
私にとって、「コラム」と「ばか」がどうしてもつながらない。
腹が立つほどつながらない。

マチュアのつりファンの『つりばか一代』ならわかる。
甲子園には縁がなかったが、草野球が大好きという人の『野球ばか一代』もよろしい。
イチロー選手は『野球ばか一代』は書かないだろう。

「コラム」というのは短い文章で、たとえば、誰もが経験するような身の回りのできごとなどを題材に、人間や世の中についてそれなりに深く幅広く考えさせるのが命だ。
大論文ではないだけに、大上段に構えるわけにもいかず、これでけっこう難しいものなのである、などと書くと、あのなー、あんたなー、とからんでくる人があるかもしれないので、難しいものだそうです、と書いておこう。

職業としてその「コラム」を書くことに長年一生懸命取り組んできた人が、「コラムばか」?
石井さんの文章を一度も読まずに言うのもなんですが、この人は「ご謙遜」ではなくほんとに「コラムばか」なのかもしれん。

いや、かもしれん、などと疑ったら、「はっきり『ばか』と名乗ってるだろう!」と怒られるかもしれないから、素直に「ばか」と思うことにします。
私の知らない新種の「ばか」なのだろう。