若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

キケロと対立教皇

『古代のキリスト教徒と軍隊』に、キケロが出てきた。

古代ローマの政治家で雄弁家で哲学者ということくらいは学校で習った。
雄弁家とは?
ただのおしゃべりではないと思うが、ただのおしゃべりだったかもしれない。

いずれにせよ彼の名前を知っているだけだ。
キケロに限らず、名前だけでも知ってる方が、名前も知らないよりえらいだろうか。
私が名前だけ知っていて、他の人が名前も知らない場合は、知ってるだけでえらいということにしておこう。

キケロは、戦争には二種類あると考えていたそうだ。
破壊に夢中になっている敵から生き残るための防衛戦では、あらゆる手段で戦い、敵を根絶することによって平和が達成される。
競争国との戦争では、捕虜を保護し、残虐さを避けねばならない。

ははあ、西洋の人はこんなことを二千年ほど勉強してきたんですな。
聖徳太子が「国家論」を書いたり、蘇我入鹿が「戦争論」を書いたりしていたら、私達もかなり違った人間になっていただろう。

聖徳太子が「日本国憲法について」という本を世に問わず、「和をもって尊しとなす」なんて書いたので、相田みつおさんがはやるのだ。

キケロは、「昔は、戦争をしている相手である『敵』を、『敵』と呼ばず『相手』と呼ぶことがあったが、そう呼ぶだけでも不快さが軽減される」と書いている。
「鬼畜米英」という言葉を発明した人は、A級戦犯だ。
「雄弁家」というのは、言葉を大事にする人のことかもしれん。

キケロのほかにヒッポリュトスという人も登場する。
この人は三世紀の人で、キリスト教会初の「対立教皇」だそうです。

「対立教皇」というのは、正式に選ばれたローマ教皇がいるのに、ワシが教皇だと名乗った人で、歴史上たくさんいるそうだ。

この人が、「キリスト教徒がしてはいけない仕事」を列挙している。

売春婦、売春宿の経営。
そうでしょうな。

剣闘士、俳優、魔術師、占星術師。
なんとなくわかる。

わかりにくいのは「教師」
「子供に教えている者はやめたほうがよい。もしそれ以外に手に職がないなら許される」

子供を教えるのは教会の役目だということだろうか。
それにしても「それ以外に手に職がないなら許す」というのは、実にいやみな言い方だ。
ヒッポリュトスの真意を聞きたい。