若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

墓碑銘

テイラー・コールドウェルのベストセラー小説、『パウロ、神のライオン』を読む。
パウロというのはキリスト教のえらい人だから、大河ドラマ明治天皇と日露大戦争』みたいな小説だと思う。
読んでみて、パウロがどういう人かはよくわからなかったが、なじみのない世界について書いてあるから面白い。

登場人物のギリシャ人が、自分の墓碑銘はこうしてほしいと言う。

「この世を楽しみ愛し、醜悪と苦痛だけではなく美しさもそこに見出した人。年老いて眠気をもよおし、後ろ髪を引かれながらもほっとする思いでこの世を去る」

いいんじゃないでしょうか。
墓石に文章を刻むのはあちらの風習ですね。
今まで目にしたことはほとんどない。

今後はこの分野でも「わがままな発注者」が増えそうだ。
インターネットで「墓碑銘大学」を開設してる人がいた。
自分で自分にふさわしい墓碑銘を考えませんかというのだ。

有名な人の例を挙げてある。
スタンダール:「書いた恋した生きた」

高村光太郎:「一生を棒に振った男ここに眠る」
ちょっと変えて「一生棒を振った男」にすると、指揮者とか野球の選手にも使えそうだ。

似てるのが、マリー・アントワネットの兄ヨゼフ二世。
「ヨゼフ二世ここに眠る。彼のあらゆる企ては不成功に終わった」

有名でないふつうのお医者さんだったリチャードさん。
「ここに医師リチャード眠る。この墓地に眠っている者の半分は彼の患者だった」

この文章では、リチャードさんが地域で慕われていたと言いたいのか、とんでもないヤブだったと言いたいのかはっきりしないと思う。

墓碑銘にはいくつかの型があるようだ。
紹介型。「ここに眠っているのはこういう人です」
説教型。「××せよ」

さびしがり屋型というのは初めて知った。
「止まれ!通行者よ!鹿之助のために泣け!」

ミエもハリもないという感じだ。

自分の墓碑銘を考えるのは面白いかもしれない。
それより、お参りに来た人が、墓石にマジックインキで書き付けるほうが面白そうだ。