若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『イエスの生涯』

著者ジェラール・ベシェールは、フランスのカトリック司祭である。

キリスト教入門」的な本は何冊か読んだが、本場の入門書はどんなものだろうかと思って何年か前に買った。
カトリックの司祭が書いた本なら、さぞかしアーメンソーメン冷やソーメン的雰囲気に満ち溢れているのではないかと思ったら全然そんな本ではなかった。
司祭というより学者という感じの人のようだ。
自信をもっておすすめします。
私がすすめてもネウチないですが。

本を買って、トクしたと思うことがある。
この本は絵が多いのでトクしたと思った。
美術全集に出ている「キリスト教美術」は「超一級品」だということがわかる。
当然のことながら、ピンからキリまで掃いて捨てるほどあるのだろう。

今回読み直して、ロックバンドの名前について新しい知識を得た。

ロックバンドは好き勝手な名前をつけている。
1970年代に活躍した「ユライアヒープ」というイギリスのバンドがある。
この名前を聞いたとき、ひねくれたやつらやなー、と思った。

「ユライア・ヒープ」というのは、私が高校のとき読んだ、ディケンズの小説「デイビッド・コパフィールド」の登場人物である。
あらゆる手段を使って主人公を不幸にすることに喜びを感じるという、この小説の中に出てくる人物の中で最低最悪の男というだけでなく、世界小説史上稀に見る下劣卑劣破廉恥な悪党だ。

名前を聞いただけで、イギリス人なら誰もがオエッとなるのではないか。
それをバンド名にするのだから立派なものだ。

さて、今回著者に教えてもらったのは、アメリカの極悪バンド「パンテラ」の名前の由来だ。

パンテラ」のギタリスト、ダイムバック・ダレルの写真はギター雑誌でよく見た。だいぶ前に射殺されたそうだが、この人は実に「極悪」な風貌だ。
エネルギッシュな麻原、あるいはギターを持ったフセインという感じだ。

さて、著者によれば、すでに一世紀ごろ、ユダヤ教側からキリスト教を誹謗する悪質なデマがまき散らされていた。
その中に、「マリアの処女懐胎」はでたらめだというものがあった。

マリアはローマ兵士に暴行されて身ごもったというのだ。
その兵士の名前が「パンテラ」だと書いてある。

ユライア・ヒープどころではない。
とんでもなくおぞましい名前だ。
よくこういうバンド名で活動できたものだと感心する。