『キリスト教史第七巻:啓蒙と革命の時代』
この本は、手に汗握って、ハラハラしながら読むような本ではないし、腹を抱えてげらげら笑いながら読む本でもない。
いかにも面白くなさそうなタイトルだけれど、読む人が読んだら、非常に面白い本のような気がします。
「啓蒙と革命の時代」といわれる18世紀のキリスト教について書いてあるのだろうと思ったら、18世紀のヨーロッパについて書いてあったので意外であったが、すぐ、意外ではないと思い直した。
日本人は宗教に弱いとよくいわれるが、そんなことはないと思う。
宗教はややこしい。
キリスト教もイスラム教も仏教もややこしい。
わかってる人は少ないと思います。
読み始めてすぐ安心する。
立派な学者が書いた本だなと思える。
大学の先生が書いた本でも、この人、大丈夫かな?口から出まかせいってるな、と感じることがあるが、この本は違う。
と思います。
18世紀に入って、合理主義の精神に目覚めた人たちに攻撃されて、教会が衰退したのではない、特権にあぐらをかいて堕落した教会が、時代に対応できず、人々に見放されたのだ、というのが著者の見解だ。
著者は、オランダの、ナイメーヘン・カトリック大学教授のL.J.ロジェという人で、「キリスト教史」といってもカトリックの立場から書いてある。
が、公正に書いてあると思える。
宗教のややこしさの代表が、カトリックとプロテスタントの対立だと思う。
この本でもいろんなややこしいことが出てくる。
ジョン・ロックは信教の自由を唱え、ユダヤ教でもイスラム教でも自由に布教してよいと考えていたが、カトリックだけは許さなかったらしい。
なんでや。
30年ほど前、ローマ法王が初めてアメリカを訪問した。
そのとき、アメリカの雑誌「タイム」を読んでびっくりした。
一昔前なら、ローマ法王の訪米など考えられなかった、大統領が招待しても、議会が反対しただろう、議会が賛成しても、民衆が空港に押し寄せ、法王に卵やくさった野菜などを投げつけただろうと書いてあった。
そして、アメリカの良識ある市民は、黒人差別など、人種差別はおおっぴらにはしなくなったが、カトリック信者に対する差別、嘲笑はいまだに公然と行われているとも書いてあった。
わけがわからんが、私が宗教オンチだからわからんのではなく、誰にもわからんと思います。