若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

安楽死

富山県の病院で、外科部長が患者の人工呼吸装置をはずしたことが問題になっている。

いわゆる「安楽死問題」であるが、これは私にとって他人事ではない、というより切実な問題だ。
私は毎年風邪をひく。パターンは決まっていて、まずのどが痛くなり、せきが出始めてしばらくすると熱が出る。
熱が36度8分以上になると日常生活に支障をきたすようになる。これは私の脳が、スーパーコンピュータと言われるような精密機械と同様、わずかな温度や湿度の差にも影響を受けるからだ。脳の作りが雑な人は、それくらいは平気だろう。
38度になると苦しさに耐えかねて、家内に一思いに殺してくれと叫ぶようになる。患者の意思を尊重するなら、私はこれまでに十四、五回安楽死させられていただろう。

実は、土曜日から死んでました。今シーズンは風邪をひかないなと思っていたら、先週のはじめからのどがおかしくなった。金曜からせきが出てきたので、土日は熱だなと予想していた。予想は見事に的中した。
日曜は、先ごろ亡くなった叔父の満中陰の法事があった。家内とともに出席するはずであったが、37度8分の高熱であるからどうしようもない。布団の中で断末魔の苦しみにのたうつ私を置いて、家内は出席すると言う。
私より法事が大事なのか。
どうか置いていかないでくれ、置き去りにするくらいなら一思いに殺してほしいと懇願する私を、例によって家内はフンと鼻で笑い、どすのきいた声で歌を歌いながら出て行った。

♪義理と人情をはかりにかけりゃ
 義理が重たい女の世界
 義理がすたれりゃこの世は闇さ
 なまじかけるな薄情け