若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

朝、家を出ると、白いものが一つすーっと流れるように降りてきた。
鳥の綿毛かなと思ったら雪だった。
バス停まで歩いていく間、一つ、また一つと降りてくる。
空は青空で雲はほとんどない。
バスを待っている間に綿毛のような雪は少しずつふえてきた。
生駒山が雲をかぶっているので、生駒から飛んでくるのだろうか。

電車の駅ではほとんど吹雪状態になったが、雪が非常に細かいので派手な見ものではない。綿ぼこりのようなものがたくさん飛んでいるという感じだ。
初めて見るような気がしたが、たぶん初めてではないだろう。綿毛のような雪が風に流れていくのは、印象的だが記憶に残らないのだと思う。
気の毒である。
誰が。
綿毛のような雪が。
覚えていない私も気の毒である。

ささやかではあるが覚えていれば楽しい情景や楽しい人のことを忘れている。忘れるほうも忘れられるほうも気の毒である。
目の前を流れていく雪を見て思い出した。奈良に引っ越して最初の春のことだ。斜面の中腹に建った家で、南側は家もなく、近鉄電車の線路まで見通せた。
南側の窓から外を見て驚いた。無数の白いものが、紙吹雪のように西から東へゆっくりと流れている。なんじゃこれは!?

桜だった。隣のあやめ池遊園地の桜が、風に乗って膨大な花吹雪となって渡っていく。これは実に派手なもので、記憶に焼きつく。

花吹雪のバックに音楽が聞こえるような気がする。OSK「春のおどり」のテーマソングだ。娘達がちいさいころ、あやめ池の円形劇場でOSKの公演をよく見た。「春のおどり」の歌は実に派手だ。

♪桜さく国桜桜
 花は西から東から♪

う〜ん、やっぱり今朝の雪のことは忘れそうである。