若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

方向感覚

葬式で親戚のHさん夫妻に会う。

Hさん一族とわが一族は非常に付き合いが深いのであるが、どういう関係なのかよくわからない。
ウチの祖父とHさんのお母さんが兄妹同然に育てられたということらしいが、なぜ兄妹同然に育てられたのかが分からない。
今憎しみあってるのなら理由を知りたいところだが、親しいのだからわからなくてもいい。

ご主人は80歳近いが、元気な夫婦だ。
二人とも小柄だが、「頑健」という感じがする。
最近法事で顔をあわせることが多い。

夫婦で非常によく歩いているようだが、奥さんは引きずられて歩いているようだ。
「主人が一度通った道は通りたくない性格なので困ります」
そんな性格あるのか?

今回の葬儀場も何度目かだが、そのつど違う道を歩かないと気がすまないらしい。
車を運転していても「同じ道はイヤ」なので、一度行ったことがある所に行くのにもわざわざ知らない道を走って迷子になる。

今回は、Hさんが戦前何度か行ったことのある、葬儀場の近くの家を探そうとして道に迷った。
60年以上前の記憶を頼りに歩いていくというのだからえらいものですと言ったら、奥さんは第三者だからそんな気楽なことが言えるんですと反論した。

余裕を持って早く出かけたのに家を探し回ったため葬式に遅れそうになって走ってきたそうだ。
80近い小柄なお二人が葬儀会場目指して懸命に走っている姿はほほえましい。
三者は気楽だ。

私は方向感覚にはまったく自信がない。
違う道を行ってみようという人の気が知れない。
地図もうまく読めない。

何年か前友人が個展を開いた。
画廊の案内状の地図はなぜあんなにわかりにくいのだろうか。
地図を頼りに近くまでは行った。
もうすぐだとは思ったが、自信がないので通りがかりの人に聞いたら、とんでもない方向を教えられたのを真に受けてエンエンと歩いて約束の時間に大幅に送れたことがある。

伊勢神宮へ行ったときも迷った。
神宮に伝わる貴重な品々をおさめた「宝庫」という建物があるというので見学しようと思った。
社務所の女性に場所を教えてもらった。
教えられたとおり行ったつもりだが広い境内で迷って行けなかった。

社務所に戻って女性に文句を言った。
「宝庫に行けませんでした」
「これがホントの方向オンチですネッ!」
「えーかげんにしなさいっ!」
「ほんとにネッ!」