若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

盗作

画家の和田義彦さんの作品が、イタリア人画家アルベルト・スギ氏の絵の盗作だと問題になっている。

問題にならない盗作はたくさんあると思う。
私も問題にならなかった。
小学三年か四年のときだ。
父がとっていた野球雑誌(『野球界』だったと思う)に読者投稿の似顔絵欄があった。
そこに出ていた小西得郎さんの似顔絵に私は感動した。
小西さんは当時大変人気のある野球解説者で私も大好きだった。

一筆書きみたいな絵だったが特徴をとらえて実によく似ていた。
すっかり感心した私は、一生懸命その似顔絵をまねして描いた。
はじめはうまく描けなかったが、努力のかいあってついに小西得郎さんそっくりの似顔絵にそっくりの絵ができた。

私は勇んで「作品」をその雑誌に投稿した。
きっと私の「作品」が雑誌にのる!
だって、入選作そっくりなのだから。

待てど暮らせどのらなかった。

五年生から私は『野球少年』という雑誌を読みだした。
やはり「笑い話」などの読者投稿欄があった。
あるとき、「他人が書いたのと同じものを送ってきてはいけない」という注意が出た。
少しかしこくなっていた私は、ハハーン、あの小西得郎さんは送ってはいけなかったのだなと思った。

アルベルト・スギ氏は有名な画家らしいから、そのまねをした和田氏の作品に賞を与えた審査員の鑑識眼は立派なものとも言えるし、有名な画家の絵を知らずに賞を与えたのは間抜けだとも思う。

二人の絵を見て、和田氏がもう少し変えればよかったのにと思う。
東京芸大の大学院まで出た技術力があると、変えようとしてもそっくりになってしまうのかもしれない。

スギ氏の絵に似すぎだ。
過ぎたるは及ばざるが如し。

すっかり有名人になった二人を、芸能界が狙っている。
和田氏はスギ氏の絵をカメラでとりまくった。
このカメラがフジフィルムの製品だったことから、フジフィルムは秋に発売予定のデジカメの新製品のコマーシャルに和田氏とスギ氏を起用すると発表した。
当初、樹木希林さんの予定だったが急遽変更となった。

スギ氏のアトリエで和田氏が絵を写しまくる。
スギ氏がイタリア語で、「トラントイテーヤ!」と叫ぶ。

和田氏がカメラ片手にこちらを向いてにっこり。
「和田氏にも写せます」

(まずいながらも一応しゃれになっていることは40代以上の方にはご理解いただけるかと思います)