若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

国語教育2

国語の時間に何を習ったかほとんど忘れている中で、中学のとき熊谷先生が教えてくれた呪文だけははっきり覚えている。

「トンカツ食ったらうまかろう。うまい。うまいけれども金がない」

呪文は覚えているのであるが、どこで使うのかを忘れた。
「活用形」の呪文だったと思うのであるが。

国語教育は大事だろうな、と思う。
友人が最近、国語教育は大事だ!と叫ぶようになった。
彼と会うと国語教育談義になるかというとならない。
私が彼の話に乗らないからだ。
彼は国語教育についてよく知らないと思うのだ。
私も知らない。

知らぬ同士が小皿たたいてチャンチキおけさを歌うのはいいが、国語教育は大事だと合唱しても仕方がない。

思いて学ばざればすなわち危うし。
孔子の説に従い国語教育について学ぶことにする。

石原千秋『国語教育の思想』
著者は長年高校国語教科書の編集に携わり、国語教育について研究してきた。
面白くなさそうだが面白い。

「国語教育はすべての教科の基礎になるような読解力を身につける教科だとか、豊かな感受性を育む教科だとか考えている人がいたらそれは誤解である。現在の国語という教科の目的は広い意味での道徳教育なのである」

なるほど!
私が小学校の国語の時間に習った。「ワシントンと桜の木」は「正直」を、「エリザベス・スタントン」では「男女同権」を、「テームズ川のトンネル」では「創意工夫と努力」を教えていたのだ。

「立派な文章」「いい話」から、無理やりにでも「教訓」を読み取るのが、「読解力」ということになるようだ。
「えらそうなことを書いているが、ほんまかいな」というような読み方は日本の国語教育では許されない。

欧米では、読解力というのは、自分の頭で考えて批判するということのようだ。
OECDの15才学力調査で、日本の「読解力」が世界の国々の中で低い評価だったのは当然ともいえる。
著者は、現在の国語教育に力を入れれば入れるほど、OECDの試験などではますます成績が悪くなるだろうと言う。

当時中山文部大臣は、OECD学力調査の結果に取り乱し、「つめこみではダメだ!叩き込め!」と叫んだそうだ。
全然わかってないのである。
読解力なしというか読解力以前の問題だ。

この調査結果が発表されたとき、ふざけて、国会議員にこの調査をなどと書いたが、冗談ではなさそうだ。