NHKテレビ「まちかど情報室」
軽自動車を改造したキャンピングカーが人気だそうだ。
キッチンつきでベッドが三つという、見ているだけで息苦しくなるようなのもあった。
アウトドア派でなく、旅行好きでも車好きでもない私にはまったく無縁のものだ。
十数年前、キャンピングカーファンの人の話を聞いた。
アメリカからウエスタンブーツや雑貨を輸入している人で、とにかくアメリカが好きなのだ。
「日本はダメです。日本人は哀れなものです」
アメリカの不動産広告を見せてくれた。
その人が仕事でよく行くアリゾナの住宅地だ。
プールつき大豪邸が3000万円、ふつうの家なら500万円くらいだった。
土地の安いのは聞いていたが、家まで安い。
なるほど日本人は哀れだ。
建築現場を見ると、アメリカの大工は実によく働くと言った。
しかし、仕事が雑かもしれない。
日本の塗装業者の団体がアメリカ旅行をした。
商売柄、空港やホテルの塗装に目が行く。
どこの塗装もムラだらけで日本ならすべてやり直しだという。
日本人は哀れだ。
ウエスタンブーツの人は、何でもアメリカが好きなので、家具も輸入した。
ところが、引き出しがすっと入らないとか、扉がきっちり閉まらないとかで売れず、ひどい目にあったそうだ。
アメリカ人なら気にしないのに。
日本人は哀れだ。
この人は、車もどーんと大きなアメリカの車が好きだ。
キャデラックに乗りたいが、腹がたつので乗らない。
何に腹がたつのか。
アメリカで買う倍ほどの値段になっている。
トヨタのクラウンは日本でもアメリカでも大して値段が変わらないのに。
日本人は哀れだ。
いよいよキャンピングカーの話になる。
この人は、キャンピングカーであちこちに行くのが好きなのだ。
トラックで言えば1トン車か2トン車を改造したような車だそうだ。
アメリカの友人達も、キャンピングカーが好きな人が多い。
彼らのキャンピングカーは、大型バスみたいな大きさだ。
もちろん、バス、トイレつき。
うらやましくてならない。
小型は窮屈だ。
大型キャンピングカーでゆったりしたい。
大型バスのようなキャンピングカーを買う金はあるのだ。
ただ、大型バスのようなキャンピングカーを買っても日本の道路では窮屈だ。
日本人は哀れなものですという言葉に実感がこもっていた。
日本人は気の毒だなあと思った。