電車で仕事をしている人がある。
書類に目を通す。
ふつうである。
今朝、座席で猛烈な勢いで書類をチェックしてる女性がいた。
大判の大学ノートをひろげている。
手書きである。
はっきり見えないが、左端に番号、その横が氏名ですね。
縦に区切ってあっていくつかの項目があり、右端が「備考」のようだ。
一人一行。
びっしり詰まっているのを、各項目に鉛筆を当てながら、次々とチェックしている。
頭にたたき込んでいる!という感じだ。
先生だろうか、と思いながら首を伸ばして見たら、備考欄の文字が読めた。
「糖尿」「肝炎」などの文字があったので、看護婦さんのようだ。
入院患者の状況を書いてあるのだろうか。
時々いっしょになる、中年の男女の先生がいる。
なぜ先生とわかるかというと、この人たちは電車の中で試験の採点をするからだ。
男性のほうは、立っていても答案用紙を左手に、右手に赤鉛筆を持って採点している。
車内で採点はやめてほしい。
なんだか不謹慎な気がする。
今朝は、いつもいっしょの幼稚園の先生が私の前でノートをひろげた。
なぜ幼稚園の先生とわかるかというと、これまで何度かノートをのぞき見たことがあるからだ。
今朝はなんだろうか。
ノートの上のほうが見えた。
(ナ)そこにカリオストロ伯爵が入ってきてルパンをうった。
(ルパン、たおれる)
なんじゃこれは?
「ルパン三世」かな。
私はよく知らないが、人気のある漫画だ。
(ナ)というのは、「ナレーション」だろう。
幼稚園で「ルパン三世」の劇をするのか。
先生の陰になってなかなかノートが見えない。
(よしあき)ああ!一足おそかったか。
(あやか)おじさま、私の指輪が。
その他にも、だいき君のせりふや、はるなちゃんのせりふなどびっしり書いてあった。
残念ながら覚えきれなかった。
先生は覚えきれたようで、ノートを閉じた。
表紙には、「18年度。ふじ組。ルパン三世」と書いてあった。
たぶん、園児の発表会で有名な、あの幼稚園だろう。
子供達を猛特訓して、毎年すばらしい発表会を開くので評判の幼稚園があるのだ。
ふじ組による「ルパン三世」
楽しみである。
がんばってください。