最近、空海が気になる。
空海でなくてもいいのだが、日本史上で有名な人のことが気になる。
空海はどうして有名になったのだろうか。
えらいからだろう。
「空海は偉大だと思う」と言えれば、私は空海の偉大さを理解できる知的な男ということになる。
空海の何がえらいかわからないと言えば、理解力のない男ということになる。
わかりません、と言うのはさびしい。
外国の天文学者の本を読んだことがある。
その人は、国立天文台で「なんとか望遠鏡」を使って、何億光年だったか、とにかく宇宙の果ての研究をしている。
「なんとか望遠鏡」は大変高価なものである。
その人は納税者の皆さんに、自分達が血税を使って、何の役にも立たない好き勝手なことをしていると思われたくないのだ。
莫大な税金で作った「なんとか望遠鏡」が皆さんの役に立っていることを理解してもらいたい。
いい心がけである。
しかし、私は理解できなかった。
さびしい。
空海の偉さは、『三教指帰』を読んでもわからなかった。
仏教と儒教と道教の代表者にしゃべらせて、仏教が一番だという結論に持っていくのだが、儒教と道教の代表はピエロみたいなもので気の毒である。
儒教と道教関係者から抗議されると思う。
空海の手紙を読んだ。
布をプレゼントしてくれた人に、今年の冬はこれで寒さに震えることなく勉強できます!と書いていた。
紙をプレゼントすると言ったのにまだ送ってくれない人に催促している。
お忙しいとは思いますがよろしく。
空海が、国立天文台じゃなかった、「国立道場」を設立してほしいと頼んだ文章を読んだ。
「鎮護国家といえば、これまではお経を読むのが主体でした。お経というのは、あなたはこんな病気です、こんな薬が効きますと解説してあるだけです。私はちがいます。いい呪文を知ってます。私の呪文は、薬を調合して服用させて病気を治してしまうのです」
こんな感じの調子のいいことを言っている。
これが本場で最新流行の私だけが知っている理論ですと口から出まかせを言って周囲を煙に巻くおねだり上手な男。
それが空海なのか。
人は自分の大きさでしか理解できない。
今後一層の勉強を重ね、空海の真のえらさを理解できるよう努める所存ですので、倍旧の御指導御鞭撻のほどお願い申し上げます。