ノーベル賞も困ったもんだ。
日本人学者が三人、物理学賞に選ばれた。
すごい理論なのだろうとは思うが、なんのことかわからない。
なんのことかわかりもしないくせに、すごい!というのもどうかと思うので、すごいと思わないことにするのも、ひねくれているようでどうかと思うので、やはりここは、素直にすごいと思うことにしようと、安易に妥協するのもどうかと思うので、以下略。
困る。
同じすごいことでも、イチローの8年連続200安打は、わかりやすい。
イチローという人はいったいなにをしたのだろうか、と悩む必要はない。
いや、悩む人もいるかもしれない。
私が悩まないですむのは、頭がいいからかもしれない。
しかし、野球を知らない人でも、説明したらわかるだろう。
ノーベル物理学賞は、説明されてもわからない。
ひょっとすると、論文さえ読めば、なーんだ、そういうことか、とわかるかもしれない。
数式を見れば、なるほど!その手があったか!気がつかなかったなあ、いやあ、まいったまいった、と笑ってしまうかもしれない。
8年連続200安打には、そういう楽しみはない。
ノーベル賞級の論文というのは、「般若心経」に似ている気がする。
いろんな人が、「般若心経」にはすごいことが書いてあるという。
自分で読んでもわからない。
似ているような気もするし、ちがうような気もする。
ノーベル賞受賞学者は、「般若心経」を書いたお坊さんに似ているような気もする。
空海は、ノーベル賞をもらえるようなすごい人なのだろうか。
「イチロー物語」は漫画になると思うが、「ノーベル物理学賞受賞学者物語」は、漫画にならないのではなかろうか。
ノーベル賞は困る。