若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

華麗なる変身

「新一年生」が楽しい。

「新中学一年生」には、小さなかわいい男の子がいる。
「え〜!キ、キミ、中学生か?三年早いのとちがうか?」

ピカピカの制服のこういう男の子は、必ず寝ぼけた顔をして、髪の毛が寝癖でヘンテコに逆立っている。

高校を卒業した女の子にとって、大きな問題は服装である。
制服から新しいファッションへの転換には時間がかかる。

そんな中で、この四月、見事華麗な変身を遂げた子がいる。
朝のバス停で、老婦人とともに現れる子だ。
制服姿のおとなしそうな子で、体型は、私はちょうどいいと思うが本人はやせたがっているのではないかと思えた。

先週、バス停に立っていたら、老婦人と、すらりと背の高いパンタロン姿の若い女性が歩いてきた。
久々のニューフェイスである。

次の日、彼女は超ミニスカートで現れた。
過激である。

うん?
ありゃ?
キ、キミは!?
あの女子高生ではありませんか!

パンタロンとミニスカートはいいとして、そんなにすらりと背が高かったかな?
おみごと!
初日からしっくり。
十年前から女子大生のように見える。

やはりバス停でたまにいっしょになる男子高校生も変身したが、こいつはかわり映えしない。
だらしない制服姿が、だらしないジーンズ姿になっただけだ。

体重100キロはある。
いつも不機嫌そうな顔で、ふてぶてしくも憎々しい態度で、のっしのっしとやって来る。

なにが気に入らんのかと思うが、高校生男子の典型であるから暖かく見守っていた。
ある朝、いつものように、のっしのっしとバス停に向かって来た。
バスがいつもより早く来た。
気づいた彼は、不機嫌な表情もふてぶてしくも憎々しい態度もかなぐり捨て、「男の子」の顔に戻ると、あたふたちょこまかとバス停に走ってきた。

若造!しっぽをつかんだぞ。

しかるに、何たることか、私によってしっぽを捕まれたところのこの若造は、次の朝から、性懲りもなく不機嫌な顔でふてぶてしくも憎々しい態度でのっしのっしと現れた。

先週、初めて彼と帰りのバスでいっしょになった。
彼は、降りる時、体重100キロのくせにかわいい声で、運転手に「ありがとうございました」と言った。

付近の小学校がそう指導しているのか、子供達はバスを降りる時必ず、ありがとうと言う。
中学、高校になっても続ける子もいる。

この若造を許す。