タバコを吸いにくい世の中になって、タバコを吸いたい人は気の毒だと言いたいが、昔から、「こんなとこで吸うな!」と言いたくなる人が多かったから、あまり気の毒にも思わない。
ますます、「こんなとこで吸うな!」の人が目立つ。
特に、くわえタバコで歩く人は最悪である。
きのう、バス停で並んでいる人の中で、吸いだしたおじさんがいた。
バスはすぐ来るのに、がまんができないのでしょうな。
それにしても、こんなとこで吸って、吸殻をどうするのだ。
バスが来た。
吸殻を捨てるところを見て、ムカッとしようと、にらみつけて待ち構えていたら、捨てなかった。
一瞬、なにをしたのかわからなかった。
タバコを使った手品をはじめるように、おじさんはタバコを持った手をチョイト差し出して、モゴモゴと動かした。
そして、ポケットからタバコの箱を出した。
おお!
おじさんは、火のついたタバコのさきっちょを、指で器用にちょん切って、落としたのだ。
そして、残ったタバコを箱にしまったのだ。
ミスター・マリックの弟子かと思える鮮やかな手つきであった。
私はタバコを吸わないので、これがどの程度高度なテクニックなのかわからない。
吸殻を捨てるよりはマシだと言えるだろうか。
ちょっと考えさせてください。
吸殻を捨てたとは言えないかもしれないが、このおじさんが、「歩く吸殻」だと言えるかもしれない。