「布石」というのは碁のことばらしい。
碁も将棋も知らない。
将棋は、こまの動かし方を知っているていどで、碁はまったく知らない。
電車で、碁や将棋の本を開いている人がいる。
中高年の男性だ。
今朝は、60代と思える男性が、碁の新聞を読んでいた。
「布石:次の一手:ベスポジを探せ!」
ベ、ベスポジ???
ベストポジションですか。
碁の指導で、「ベスポジ」はやめてほしいと思います。
まあ、いいですけど。
大学の美術部でも、碁の好きな人がいて、ときどき碁盤をはさんでいた。
三年前に亡くなったN君も、かなり好きだった。
N君は、いつも真剣であった。
相手になる人が、いやがっていた。
私にはわからないが、最後に勝ち負けの数を数えるのですか。
相手は適当にすませるのだが、N君はカンカンになって数える。
「もういいじゃない」と言われていた。
勝負の山場になると、N君の顔は真っ赤になる。
盤に顔をぐっと近づけて、考え込む。
「長いよ」と言われていた。
「碁」で思い出すのは、N君の真っ赤な顔と、「もういいじゃない」「長いよ」である。