整骨院に行った。
腰とか首の痛みとかは、治らんものだろうとは思っているのであるが、知り合いのA君が、だまされたと思って行ってみろというので、行ってみたのである。
A君は、鉄パイプ曲げ加工の会社を経営している。
鉄パイプ曲げ加工というのは、わかりやすくいうと、鉄パイプを曲げるのだ。
工場には、丸、角、長、短、太、細、いろんなパイプがある。
それを曲げる。
あるとき、工場に、かなり太い、丸いパイプを、ヘンテコに曲げたものがあった。
いったいこれはなんじゃ。
巨大知恵の輪かと思って聞いたら、A君は、「あれやがな」と言って、空を指差した。
お!空飛ぶ円盤の部品か?
ちがった。
A君が指差したのは、電柱であった。
なるほど、電柱に、その、かなり太い丸い鉄パイプをヘンテコに曲げたものがあった。
A君は、ヘラクレスみたいな男である。
少々の鉄パイプくらい、素手でヒョイと曲げそうに思うが、そうはいかんようだ。
仕事柄、若いときから腰痛に悩まされている。
その彼がすすめる整骨院に行ったのだ。
ドアを入ると、若い男女のスタッフが、「おはようございます!」と口々に声をかける。
元気のよい整骨院だ。
「電気椅子」のようなものがずらりと並んでいるのが、不安であったが、それには座らずにすんだ。
まず、院長の問診を受ける。
院長は、体育会系の精悍な男性である。
その後、若い男性が、二十分ほど「ストレッチ」みたいなことをしてくれた。
ひととおりすんだあと、「院長室」に呼ばれた。
いすに座ったら、院長が後ろに回ったので、さっきと同じようなストレッチだろうと思って油断していたら、頭をつかんでグイッと右にまわされた。
「バキボキッ!」
ひぇ〜〜、今の、何の音!?と思う間もなく、左に「バキボキッ!」
あわわ。
せ、先生、今の、私の首の音?
A君には、「バキボキッ!」はいやだといってあったのに。
A君は笑いながら、「そんなこと、せーへん、せーへん」といっていたのに。
うそつき!
すごい音だなあと、ボーゼンとしているうちに、うつぶせに寝かされて、今度は腰を右に、「バキボキッ!」
腰もすごい音がするもんだなあと感心してるうちに、左に「バキボキッ!」
そして、去年の二月の激痛以来、首のスジが突っ張ったような感じだったのが、消えてしまった。
これは?