若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

安倍さん

安倍さんは、気の毒であった。

近来マレな気の毒さであった。
似たような気の毒さがあるだろうか。

創業者社長が、息子にあとを継がせたら、全然ダメだった、というのに近いかな。
当人だけを責めてすむものでもない。
と言って、しゃーないやっちゃな〜、と笑ってすませられるものでもない。

なにせ、日本国の首相だ。
国民が気の毒だということになる。

外国へ行ったら、「このたびはとんだことで」くらいは言われますよ。

「は、なにぶん急なことで・・・」
「おつかれのでませんように」

外国へ行く人は、お通夜の、親族代表みたいな心積もりで行ってください。

全国民が気の毒だと思うが、中でも気の毒だと思うのは、京都大学教授、政治学者の中西輝政さんだ。

何年か前、この人の本を図書館で借りた。

「日本の歴史」みたいな本だったと思う。
分厚い本だったのを覚えている。
分厚くて、行間隔が広い。
こういうつくりの本を開くと、「サア、活字に慣れてないみなさ〜ん」と猫なで声で呼びかけられてるようで、むかっとする。
難しい人やね。

内容については、覚えてないので、いいことが書いてあったのに私が忘れたのか、ろくなこと書いてなかったのか、わからない。
いいことを書いてあれば、覚えているはずだとは思うが、公正を期して判断を保留する。

覚えていることもある。
本のおしまいの方で、中西さんは、突如、脈絡もなく、唐突に、「安倍晋三を首相に!」と訴え始めるのだ。

保守政治の頂点に立つ資格があるのは、血筋のいい安倍晋三だ、みたいなことが書いてあった。

血筋について、もう一つ書いてあった。

安倍首相のお父さん、安倍晋太郎さんが、安倍家は、前九年の役で源氏に敗れた奥州の豪族、貞仁、宗仁で有名な、安倍氏の末裔だと語っていたと伝えられる、と書いてあったのだ。

なんですか、この書き方。
安倍家は、奥州の豪族安倍一族の末裔だ、ならはっきりしている。
事実であるということだ。

安倍晋太郎が、そう語っていた、というのもはっきりしている。
ウソかホントかわからんが、そう言っていた、ということだ。

語っていたと伝えられる・・?

あの分厚い本の、ここけ覚えてるとは、相当陰険な読者ですね。

期待の安倍さんはやめてしまうは、昔書いた本にケチをつけられるは、中西さん、このたびはとんだことで。