若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

大ペルシア絨毯展

近くのホテルで開かれている、百貨店主催の「大ペルシア絨毯展」に行った。

こういう催しでは、いつものことだが、会場には大量のペルシア絨毯と、多勢の販売員と、まばらな客の姿があった。

会場入り口には、見事な逸品が展示されていた。
値段は、千万か二千万だった。

もちろん、そんな高いものばかりではなく、会場には、数十万円から数百万円程度のお買い得品が、たくさんならんでいた。

多数の販売員に、少数の客だから、当然、いつものように、数人の販売員に取り囲まれることになり、ペルシア絨毯について、その歴史と現状、製作工程、種類などについて、集中的レクチャーを受けることになるが、何度聞いても忘れるので、新鮮である。

製作工程の実演があった。
部屋の中央のステージに、織りかけの小さな絨毯がかけてある。

どんな人が織って見せるのであろうか、と待っていたら、静々と現れたのは、頭から薄いベールをかぶり、金のスパンコールもまばゆい鮮やかな青い薄絹の民族衣装に身を包んだ絶世の美女、そのまつげはどないなってますねん的豪華まつげ、そのお目目はどないなってますねん的妖しき瞳、そのお鼻は(以下略)、まあ、アラビアンナイトの世界から抜け出てきたお姫様という感じの若い女性であった。

え〜〜っ!この人がホントに織るの?織れるの?
販売員の説明では、この人は「先生」だそうです。
四、五歳から習い始めて、二十歳くらいで一人前になるのだと、たどたどしい日本語で説明してくれた。
技術とセンスが必要で、センスのある職人でないと、いい絨毯はできない。

家内が、説明を聞きながら、惚れ惚れと見つめて、販売員に、「まあ、きれいなかたですねえ」と言ったら、彼女は、恥ずかしそうに、「お客様、親切デス」と言った。

しばし実演を見学して、ふと目をやるとひときわ目立つ絨毯。
ペルシア絨毯は、よく見ているので、これは高そうだと見当がつく。
畳より少し大きいサイズで、520万円だった。

やっぱりね、と思って見ていたら、織姫が近づいてきて、「ワタシ、クニにお父さん、お母さんいます。弟、妹います。これ、買ってもらえると、お父さん、お母さん、喜びます。弟、妹、学校に行けます」と、切々と訴えるのに負けて、まあ、この娘さんのためならと、520万円の絨毯をポンと買えるような身分になってみたいものだと思いつつ、お土産だけもらって帰った。