仕事をやめて、カルチャーセンターに通いお料理を習うというのは男の花道である、と力むほどのこともないか。
料理というものはしたことがないので一度ならってみようと思い、インターネットで教室を探した。今日、巨大ショッピングセンターにある某教室に行ってきた。
さがし歩いたがどこにあるかわからなかった。わからないはずで、まったく料理教室に見えない。通路沿いで全面ガラス張りなのである。ケータイ電話の店のような感じだ。
この、全面ガラス張り、衆人環視、すっぽんぽんの丸見えの場所で料理を教えてもらうのか。動物園の熊みたいだが、料理をする男なんか熊ほどの人気はないからそう心配はいらないだろう。
受付の女性に、少しはお料理されるんですか?と聞かれた。
「目玉焼きだけ」
「あ、玉子が割れたら、りっぱなもんですよ〜!」
ほんまか。
薄い箱を出して、「これ、プレゼントなんです。堺一文字さんの包丁ってご存知ですか?」
なぬ?この物騒なご時勢に、切れ味鋭い出刃包丁と刺身包丁のセットをプレゼントとは大胆不敵ではないか。
「これ、そこの特製まな板なんです」
かっくん。
来週から、お料理教室に行きます。