若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

安井曽太郎「薔薇」

「薔薇」は、1932年第19回二科会出品作、安井曽太郎42歳の傑作である。

それを、私が模写しようというのだから、えーかげんにせーよ、と言われても仕方がないが、すでに、マネとドガを模写した私の暴走を止めることはできない。

なぜこれを模写しようと思ったのか。
絵を始めて半年、人物ばっかり描いてきたから、花でも描こうという気になった。
で、花を見た。
ややこしい。
自分で花を絵にまとめることは難しい。
誰か上手にまとめたのを写そう。

花なら、安井曽太郎の「薔薇」だ、となったわけで、しかたがないから安井の模写でもしようかというのが、しろうとの恐ろしさだ。

さて、この「薔薇」だが、ウチの画集には、小さな写真しかなかった。
もう少し大きいのを手に入れよう。
アマゾンで、画集を検索。
見つけた『日本の名画・安井曽太郎』に、この「薔薇」が大きく出ているかどうかわからないが、1500円だし、イチかバチか発注。

昨日届いたら、裏表紙に、バーン!と出ていた。
幸先がよろしい。

描き始めてすぐ、これは名画になると思った。
名画を写してるのだから、名画にならないと困るが、なんちゅうか、構図といい色といい、みごとです。

自分の絵で、こんな手ごたえを感じることはない。
マネの時もドガの時も、同じような手ごたえを感じた。
家内が、模写だけにしときなさい、というのももっともである。

人間は、口から出まかせだと思う。
節穴のような目で、ぼんやり見る。
右の耳から左の耳へ、す〜っと消えていく。

手仕事には、手ごたえがある。
口ごたえとえらいちがいだ。

今朝の新聞に本の広告が出ていた。

『夫婦の格式』
「いまの”男女平等”はこの国から何を奪ったのか」

絵には、こういう、口から出まかせはない。

国家の品格』?『女の品格』?『地球の品格』?『太陽系の格式』?なにをえらそうなこと書いとるねん、おっさん!(あるいは、おばはん!)わかっとるんか!?などと、私にはとても口にできないようなことばを、投げつける人も多いだろう。

しかし、「何をえらそうなこと描いとるねん」というのは、ない。
と思います。

まあ、あまり模写に力を入れるのも考えもので、今回うまく仕上がると、マネの「ベルト・モリゾ」、ドガの「若い婦人の肖像」と並んで、我が家の壁を飾ることになり、私の作品の出番がなくなってしまいます。