今年は、大本命は連覇を目指す駒沢、それを阻む勢いがあるのが早稲田、その二強に、一泡吹かせようという東洋大、というのが私の予想、ではなく、『月間陸上競技別冊箱根駅伝パーフェクトガイド』の予想であった。
大本命駒沢がまさかの十三位に沈んだが、東洋大が初優勝、早稲田が二位と、『パーフェクトガイド』の予想が当たったような当たらなかったような、微妙なところである。
相変わらず大変な大観衆であった。
大学関係者ではなさそうな、個人的ファンというか目立ちたがりというか、手製のプラカードを用意して振り回してる人も多い。
プラカードも用意せず、カメラに向かって手を振って飛び跳ねるだけの、見ていて恥ずかしくなるような人も毎回いる。
「がんばれ明治大学」と書いたプラカードが気になった。
「がんばれ明治大学」は気にならないのだが、これを上下逆さまにして掲げていたのだ。
「がんばるな」ということだろうか。
明治を応援している人か、つぶしにかかっている人か、迷うところである。
沿道に立てられた各大学ののぼりもすごい数だ。
所によっては、いくつもの大学ののぼりが、びっしり立ち並んでいる。
天下分け目の関が原でも、東西両軍合わせてこれほどののぼりはなかっただろう。
その、各大学の色とりどりののぼりが何十本もびっしり並んでいる中に、白地に赤く「初売り」と書いたのぼりが一本混じっているのが見えた。
たくましい商魂である。
伝統ある箱根駅伝のランナーたちを励ます母校の名前を染め抜いたのぼりの中に、あつかましくもというかちゃっかりというかいけしゃあしゃあというか割り込んで「初売り」の宣伝をするとは。
何たることかと思ったが、ひょっとするとここは伝統あるお店の前で、江戸時代から「初売り」ののぼりを立てているのだが、最近になってなんの断りもなく駅伝応援ののぼりをびっしり立てられて、大変に迷惑しているのかもしれない。
お店の人に事情を聞くまで判断を保留したいと思います。