若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

楽器は持てません

カルチャーセンター人物画教室初日。

ロビーの喫茶コーナーのテーブルに、写真立てとコーヒーが置いてあった。
なんだろうかと思ったら、あのおじさんの写真だ。
教室の机を移動したりする係りの人だ。
最近見ないと思っていたら、ガンで亡くなったそうだ。
50前というから、若すぎますね。

教室は、今期、休む人が多い。
この半年ほど、ご主人の看病で休んでいる人がいるが、それにくわえて、娘さんのお産、子供の受験、自身の手術など、いろいろ大変だ。

さて、今度のモデルさんは、去年も一度描いた二十代半ばと思える、おとなしそうな女性だ。

先生が腕組みをして、「う〜ん、どんなポーズがよろしかなあ」
私は、助手として先生の横に立つ。

「イスは、あれにするかな・・・いや、あっちに座ってもらおか・・えーっと・・あのテーブル、持ってきてください」
「えっ、テーブルに座ってもらうんですか?」
「い、いや、何か乗せよかなと・・・」

そうでしょうな。

イスが決まって、モデルさんが座る。
さて、テーブルに何を乗せるか。

教室にはいろんな小道具がそろっている。
先生は、その中からマンドリンを選んだ。
私が棚から取ってテーブルに乗せると、先生がじっとマンドリンを見た。

「モデルさんに持ってもろてもええんやけど・・・楽器持つのはあかんのやねえ」
「あ、はい、楽器は・・」
モデルさんが、申し訳なさそうにうなずいた。

楽器を持つのはダメ?
どういうこと?
モデルさんに質問。
「楽器、持つのはダメなんですか」
「はい。別料金になるんです」

え、え〜〜っ!?
楽器を持つと別料金!?

どうやら、モデルさんに楽器を持たせたいなら、モデルクラブ所有の楽器を、料金を払って借りるというシステムのようです。

というわけで、マンドリンはテーブルの上。
テーブルクロスを決め、後ろのついたてにかける布も決めて、準備完了。

モデルさんが、先生におずおずと、「立派なスタジオになりましたネ」
「アハハハ!そうでっか!」

孫のようなモデルさんの精一杯のお愛想に、先生はご機嫌です。