今日は、「人物画教室」。
前回から、新しいモデルさんで、今日が二回目である。
モデルさんにとって、二回目が、一番大変だ。
モデルさんが座ると、前回とポーズがちがうという声があちこちからあがるのだ。
皆さん、一回目でだいたい描いてる。
その、自分の絵と見比べて、からだの向きが違う、顔の向きが違う、腕が違う、足が違う、いろんなことを言う。
私は、自分の絵とモデルさんが違ってたら、自分の絵がおかしいのだろうと考える。
少数派です。
モデルさんも、プロだから、前回と、そう違いはないと思う。
手の位置、足の位置など、肝心な部分には、テープを張ったりして、狂わないように気をつけている。
それでも、描く方は言いたい放題である。
「顔、もうちょっと上げて」
「顔は、ちょっとうつむいてたんですけど」
「・・・じゃあ、目だけ上げて」
身体がもう少し前に倒れてたという人があれば、いや、倒れてないという人もある。
先生は、みんなの勝手な意見を、仙人のような顔で聞いている。
そして、まったりした大阪弁で、ぼそりと言う。
「人間の身体は、動きますからなあ」
前にも、モデルさんが動いたと、わいわい言ってたら、先生は同じようなことを言った。
自分のとらえたイメージを、キャンバスに定着させる。
それから後は、モデルさんにとらわれない。
モデルさんを見て描いてはいけない。
モデルを見なければいけないが、見て描いてはいけない。
80を過ぎたデッサンの名手の言葉は、説得力があるようなないような、まあ、我々が、理解できるレベルに達するのはいつのことかわかりません。