若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

はなちゃんの進む道2

少女留学生の一人が、帰国後、陸軍卿大山巌と結婚して、大山捨松となる。

以前から、「捨松」とは、けったいな名前だと思ってましたが、わかりました。
娘を十年のアメリカ留学に出すにあたって、親は「いったん捨てたつもりで、無事帰るのを待つ」という心をこめて、「捨松」という名に改めたそうです。

津田梅子の周辺には、明治の偉い人がたくさん現れる。
伊藤博文も出てくる。
冷徹な政治家、という印象だったが、好きになってしまった。

少女たちが乗った船に、伊藤も乗っていた。
長い航海の間、退屈したり寂しがったりする少女たちに、伊藤は食べ物をくれたり、怪談で怖がらせたりしてサービスする。

少女たちにとって、伊藤は「おもしろいお兄さん」だった。
梅子をはじめ、少女たちは、後年まで伊藤に好感を抱いていたようだ。

さて、少女留学生の中で、一番長い十一年という年月をアメリカで過ごした、梅子と捨松が日本に戻ったとき、浦島太郎状態だった。
激動期の十年は長い。

「え?少女留学生が戻ってきた?あ〜、なんかそういうことあったなあ」てな感じだったのではなかろうか。

梅子と捨松は、「お国のためにご奉公しなければ!」という気持ちで燃えていたから、かっくんとなった。
年長の捨松は、今の日本では、女一人でがんばってもダメだと見切りをつけて大山巌と結婚し、終生梅子の事業に「大物夫人」として協力する。

他にも、梅子には数多くの協力者があった。
特に、留学先アメリカでの人脈がすごい。
津田塾大学は、梅子の理想に共鳴し、意気に感じたアメリカ女性たちの力で出発し、発展したみたいなものだ。

こういうのを、「友愛」というのかな、と思った。
民主党代表の鳩山さんが「友愛」といったとき、「甘い」という声が多かった。
しかい、このアメリカ女性たちの献身が「友愛」だとすると、「甘い」どころじゃないです。
ちょっとマネできませんよ。

大庭みな子の『津田梅子』は、梅子の手紙を元にした本で、彼女の魅力が生き生きと伝わってくる。

賢明、明朗、快活、己の信じる道を大胆かつ慎重に進んでいった、かっこいい女性だと思いました。