某家電量販店に行った。
正面入り口を入ったところに、デ〜〜〜ンッ!と超大型テレビが置いてあった。
これこそ、今日お目当ての、パナソニックプラズマテレビ、ヴィエラ65型!というわけではありません。
そんなもん目当てに来たわけじゃない。
電池を買いに来ただけです。
しかし、65型はでかいですね。
正面入り口から入ってくる私を、「いらっしゃいませ!」と歓迎していると言うよりは、にらみつけるような雰囲気である。
挑発的というか、あざ笑うかのようにというか、まあ、ここまで大きいと可愛げがないですね。
反発を感じた。
普通の家では無理でしょう。
病院の待合室むきでしょうな。
さて、この「ヴィエラ65型」であるが、なぜこの正面入り口にデ〜〜〜ンッ!と置いてあるのか。
目玉商品なんです。
通常85万円のところ、展示品につき、なんと36万円!!
早い者勝ちです。
通常85万円のところを36万円とくれば、買わなければ損でしょう。
絶対買いだ!
と思うのだけれど、客は見向きもしない。
じっと、未練がましく見てるのは私だけだ。
まあ、電池を買いに来たのではあるが、85万の品が36万といわれては、ぐらっと来るのが人情というモノだ。
大きさは見ればわかるが、重量は?と値札をみると、スタンドつきで、90キログラム。
う〜ん・・・
ちょっと重いですね。
値段は手ごろだが、重さがな〜、と思案している私の前に、店員に案内されて家族連れがやってきた。
私より少し年上と思える男性と、その娘と孫娘、という感じである。
「セレブ感」のない、ごくふつうの家族である。
まさか、と思っていたら、店員が値札を外し始めた。
む!お買い上げ!
男性が、店員に向かって、テレビ台に傷があると、文句を言った。
店員は、展示品ですので、そのあたりはご勘弁いただきたい、と言った。
店員が、DVDプレイヤーとの接続方法を説明し始めた。
男性は、DVDプレイヤーは持ってないといった。
え、そうなんですか、と意外な表情の店員に向かって、男性は、DVDプレイヤーもつけて36万にしろといった。
店員は、ご主人、こわいですわー、とひきつり気味の笑いを浮かべた。
商談は成立した模様であった。
65インチのテレビが売れるところを見たのは、生まれて初めてであった。
乾電池二本を握り締めて、店を出たのであった。