サイエンスの人とは誰か?
サイザンスの人なら、トニー谷だ。
ちょっと古いですね。(ーー;)
「サイエンスの人」というのは、ウチの近所に住んでいる70代と思える女性のことだ。
一人住まいの、小柄で、コロンコロンした感じの人である。
なぜ、この人が「サイエンスの人」なのか。
この人は、よくお出かけをする。
何年か前、家内が、どちらにお出かけですかと聞いたら、大学の市民講座だという。
何を勉強してるのかと聞いたら、きっぱりと、「サイエンス!」と答えた。
以来、我が家では、「サイエンスの人」と呼んでいる。
この、「サイエンスの人」はえらい人だ。
相対性理論や量子力学について、専門家なみの知識を持っている、というのではない。
それは知りません。
サイエンスについては、えらいかどうか知らないが、毎日せっせと散歩するのがえらい。
散歩といっても、町内を歩くのではない。
ウチの前はT字路になっていて、玄関からまっすぐ南に道がのびている。
サイエンスの人は、ウチからその道を南に100メートルほど行ったところに住んでいる。
彼女の散歩は、家を出ると、我が家に向かって歩いてくる。
我が家の前で回れ右して、彼女の家に向かって歩く。
100メートルほどの道を、行ったり来たりする。
以前は、町内を歩いていたのだが、住宅地といっても、年をとると車が危ないので、自宅前往復にしたのだ。
時間にして30分ほどだろうか、健康のため、一日何度か歩く。
一回目は早朝である。
私が起きて、二階の窓から外を見ると、サイエンスの人が、よっこらよっこら、こっちへむかっているところだったり、遠ざかっていくところだったりする。
朝、サイエンスの人の姿を見ると、なんだかうれしくなる。
昼、郵便物や夕刊を取りに出たりした時も、ウチに向かって歩いてきたり、遠ざかったりする姿を見かける。
なかなか続かんもんですよ。
えらいと思います。
目が合えば会釈するくらいだったが、はなちゃんのおかげで話をするようになった。
はなちゃんを抱いて庭に出ていたら、サイエンスの人が歩いて来た。
いつもならウチの前で回れ右だが、はなちゃんを見て近づいてきた。
「お孫さんですか。お〜お〜丸々と」
「いやいや、おたくほどじゃありません」
はなちゃんが去って、また会釈だけになりました。