「漫然と」という言葉は、よく見聞きします、といってもいいように思うんですが、ほんとによく見聞きしてるかどうかは自信がありません。
それほどきつくない、使いやすい言葉のように思います。
今日は乗馬クラブ。
吹雪でした。
同じころに入った同じような年頃の男性Mさんが、自分のレッスンが終った後、馬場の横に立って、上級者のレッスンを熱心に見ていた。
私は、週一度来て、その日に三回乗る。
Mさんは、週三回来て、日に一度乗る。
回数は同じになるけど、Mさんの方が熱心といえる。
Mさんは、「まじめで研究熱心」という評判である。
あいさつを交わすくらいで、Mさんの研究熱心さはよく知らない。
何人もの人がそういうのだから、研究熱心なのだろう。
私も、上級者が乗るのをちょっと見ることはある。
フォームがきれいだということくらいはわかる。
さすがMさん、熱心にず〜っと見ている。
雪の降りしきる中、じっと見続けている。
後ろから声をかけたら、Mさんは、「上級者が乗るのを見ると勉強になります」といった。
「研究熱心ですねえ」
「私は、乗る前に、その日のテーマをじっくり考えてから乗ります。漫然と乗ったことは一度もありません」
きっぱりと言い放った。
「そ、そ〜ですか・・・私はずっと漫然です・・・」
「いやいや、それで楽しければそれでいいんですけどね」
なぐさめられたような気もするし、突き放されたような気もする。
話をしながらもMさんは馬場に目を向けている。
乗っているのは若い女性だ。
「この方は、プロポーションがいいですからねえ。足が長くて、すらっとして、ほんとにすばらしいプロポーションです」
たしかに、顔が小さくて、スリムで足が長い。
モデル体型である。
モデル体型だとは思うけど、Mさんがあんまり熱心に繰り返しいうので、「技術を見てるんですか、プロポーションを見てるんですか」と冷やかしたら、ムキになって、「乗馬にはプロポーションもだいじですよ!プロポーションがいいというのは、生まれ持った強みですよ!」と力説した。
「そうですか。じゃあ、私も自信を持っていいんですね」
「・・・」
研究熱心なMさんを言い負かして気分よかった。