こういうときに、50年以上前とはいえ「義援金」を送ったことを思い出しても、それほど突拍子もないことではないでしょう。
しかし、突然、『オール読み物』という雑誌のことを思い出したとなると、思い出した本人である私自身、首をひねらざるを得ない。
まあ、思い出したんだからしかたない。
『オール読み物』というのは、大衆小説というのか通俗小説というのか、まあそういうものを集めた月刊誌です。
自分で買ったこともないこの雑誌がなぜ印象に残ってるのか。
話は中学のときの英語の授業にさかのぼる。
井上先生という若い男の先生がいました。
明るくて人気のある先生でした。
この先生が、新しい課に入るときは、いつも「お話」をしてくれた。
けっこう長いお話で、10分とか15分かかったと思う。
「ある町にAさんという人がいたんやけど・・・」
そんな感じで話し始める。
授業と関係ない話が始まるんだから生徒は大歓迎。
先生にすれば、「授業への導入部」、落語でいう「まくら」というやつで、生徒の注意を自分の方にひきつけるためだったんでしょうか。
月に一度くらい、「お話」があって、私なんか大変楽しみにしてました。
先生はいろんな話を知ってるんだなあと感心してました。
あるとき、先生の話を聞いて家に帰ったら、『オール読み物』が置いてあった。
父が買ったんでしょう。
何気なくその中の一編を読み始めて驚いた。
今日聞いた先生の話とそっくり!
はは〜〜ん、先生の「お話」は『オール読み物』だったのか!
それで英語好きになった生徒がいるかどうかは知らないが、毎月一編を選んで、中学生向けにアレンジして話してくれた先生の努力に敬意を表したいと思います。
なぜこんなことを突如思い出すか、本当に不思議である。