若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

鉄道模型

テレビのニュース。

どこかのデパートで「鉄道模型展」をやってました。
私はこういうのにはあまり興味なかったです。

中学のころでしょうか、模型ブームというのかプラモデルブームというのか、まあはやりましたね。
それも興味なかったです。

私が小学生のころ、近所のお兄さんの鉄道模型を見せてもらったことがあります。
お兄さんには、弟が二人と妹がいたけど、私と学年がちがうので親しく行き来する家ではなかったのですが、どういうわけか、お兄さんが呼んでくれたんです。

お兄さんは、だいぶ年が上だったので、私から見ると、「お兄さん」と「おじさん」の間くらいという感じでした。
話したこともなかったけど、なんとなく好感のもてる顔でした。
明るくてかしこい人のような気がしました。
当時のことですから、たぶん中学か高校を出て働いてたと思います。

その家に行ったのはその時だけです。

せまい家でした。
せまい家のせまい一部屋いっぱいにレールが敷いてあるのを見て驚きましたね。
見たこともないような本格鉄道模型でした。

複雑にからんだレールを、何両もの列車が走り回ってました。
お兄さんがうれしそうに操作してました。

申し訳ないけど、私はそういう「機械モン」というか「科学もの」というか、そっちの方にはあまり関心がありませんでした。
私を喜ばせようと思って呼んでくれたんだと思いますが、そのころとしては超豪華本格鉄道模型を見ても、あんまり感激しませんでした。

お兄さんがうれしそうに操作してるのを、おばさんが苦々しそうに見てたのをおぼえてます。
今にして思えば、子だくさんのせまい家で、お兄さんが鉄道模型に金を使って部屋を占領するのは、困ったもんだったんでしょうね。

いや、ひょっとすると、親から「ええかげんにせい!」と怒られて、あれが最後の運転だったのかな。
記念に呼んでくれたのか?

さて、それからずっと後になって、お兄さんが勤めを辞めて、模型の店を始めましたことを聞きました。
近所の市場の一角の非常に小さな店でしたが、お兄さんが好きな模型を商売にしたんだと思うとなんとなくうれしかったです。

それからしばらくすると、お兄さんは模型店の前でたこ焼きも始めました。
たまに店の前を通ると、お兄さんがたこ焼きを焼いてました。

好きなことだけで食べていくのもなかなか難しいんだなと、お兄さんがたこ焼きをひっくり返すのをしみじみと横目に見ながら通り過ぎたのでした。