若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

イザベラ・バード、北へ!

イザベラ・バードの『日本奥地紀行』。

半分ほど読みました。
日光を出発してひと月あまりで青森到着。

いや〜、すごいですわ。
明治11年の東北の旅、なまやさしくはないだろうと思ってましたが、読んでるのがしんどくなりますよ。

もうちょっと楽な旅もできたでしょうに、47歳にして病弱というイザベラさん、ラクなんかしたくないんですね。

英国公使ハリー・パークスは、女性の一人旅も日本ではだいじょうぶと請け合ってくれた。
それでもパークスに頼んで本陣宿を予約するとか、各地の有力者を紹介してもらうとかできたはずです。

が、そんな人じゃないんです。
外国人が通ったことがないような道を行きたい。

となると、泊まるところは商人宿ということになる。
明治11年の東北の商人宿、悲惨だったようです。

畳はノミの巣状態。
折りたたみベッドを持ち込んでノミの襲撃から身を守った。

壁もドアもなく、障子やふすまの穴から物珍しげに紅毛碧眼の女を一目見ようとする人々。
食べ物にも困り果ててます。

東京でイタリア公使が、「日本で一番の問題は食べ物だ」というのを聞いたとき、イザベラさんは、「しょーもないことを言う男だ」とケーベツしたのですが、「本当にそうだ!」と強く共感せざるを得なかった。

乞食はいないが人々は貧しくきわめて不潔であると書いてます。
日本だけじゃなく、彼女は、朝鮮でも、カナダでも、アメリカでも、本国イギリスでも、貧しく不潔な人々について書いてます。
そういう状態を何とかしなければと思っていたようです。

イギリス人の方が日本人より優れている面もあれば、日本人の方がイギリス人により優れている面もあると、公平に観察してます。

日本人が子供をかわいがるのに感心してます。
アメリカ人もかわいがるけど、日本の方が上だと言ってます。

おとなは、子供たちが遊ぶ姿を見て楽しんでいる。
「子供が遊ぶ」というと、イギリスでは、暴れまわる、無茶苦茶をする、という感じだが、日本の子供は実におとなしい。

子供たちが、カブトムシに車を引かせて、興味深そうながめているのをに見て感心してます。
イギリスでだったら、カブトムシはあっというまに悲惨なことになってるというんです。

この年はよほど気候が悪かったようで、旅の間中雨にたたられてます。
一週間も降りやまない。

足止めを食ってる間に道路は水浸し、橋は流れる。
船で行こうと増水した濁流を下れば、向こうの方で船がひっくり返って何人もの人が川に投げ出されている。

陸を行くと、それでなくても悪路が沼のよう。
人力車が溝にはまってイザベラさんは投げ出され、馬で行くにも滑って危ないので縄で馬にくくりつけられる。
それでも馬がつまづいて、またも泥の中に投げ出される。

頭のてっぺんからつま先まで、びしょびしょの泥だらけ。

南極探検スコット隊世界最悪の旅とまでは言いませんが、まあ、すごいです。