ゆうちゃんの乳母車を、「豪華乳母車」と言おうと「高級乳母車」と言おうと言う人の勝手である。
で、私は、ゆうちゃんの乳母車を、豪華乳母車とか高級乳母車と言ってます。
今日も今日とて豪華高級乳母車にゆうちゃんを乗せて、町内を縦横十文字、後で「なぜウチの前を通ってくれなかったんですか」と抗議を受けることのないよう、くまなくもれなく散歩いたしました。
「おお、いい乳母車ですねえ」と言われていい気になるのは私だけで、いいとこのぼんぼんであるゆうちゃんは、そんなことでいい気になったりせず、乳母車の日除けのひもを一心不乱にしゃぶり続けるのであった。
庭仕事をしていたおじさんにほめられていい気になってのし歩いてたら、ある家の門の前にとまったトヨタが世界に誇る高級車レクサスクーペから銀髪の紳士が降り立った。
紳士は乳母車を見て、「おお！」という表情で、「いい乳母車ですねえ」と言った。
「はい。高級乳母車です」
人様に向かって「高級乳母車」と公言したのは初めてである。
紳士は、ムムッという感じで笑いながら、「ホントに、高級乳母車ですなあ」
私はレクサスクーペを指さしながら、「乳母車のレクサスです」と言った。
紳士はまたもムムッという感じで、「イ、イヤイヤ・・・」と手を振った。
エールの交換という感じで、よかったんじゃないでしょうか。
