兵庫県立美術館で開催中の、「生誕百年:伊藤清永展」に行ってきました。
伊藤清永(1911〜2001)は洋画家で文化勲章を受けてますから、栄誉を極めたと言っていいんでしょうが、知ってる人は少ないと思います。
私も十数年前まで知りませんでした。
油絵の技法書を買ったら、参考作品として伊藤清永の裸婦が出てました。
聞いたこともない人だけど、堂々たる裸婦を描く人だなあと感心しました。
たまたま今回の展覧会を知って行く気になりました。
裸婦を中心に描いてきたので、それほどポピュラーにならなかったんでしょうか。
もちろん、「文化勲章周辺世界」では超有名だったんでしょうが。
昭和51年の日展にも裸婦を出品した。
その年、日展を訪れた昭和天皇を、日展のえらい人だった伊藤清永が案内した。
伊藤の裸婦の前で昭和天皇は、「伊藤、お前は裸が好きか」と尋ねたそうです。
「好きでございます」と答えたそうです。
ほんとかな。
昭和天皇がそんなこと聞くかな。
中学時代からの作品がならんでました。
晩年まで、好感のもてる作品が多かった。
51才で初めてヨーロッパに行ってます。
そこで描いた絵がすばらしい。
私が感激した裸婦もヨーロッパで描いた作品です。
ヨーロッパで、画商にこういわれたそうです。
「日本から来た絵描きで、日本と西洋を融合できたのはお前だけだ。ただし、日本に帰ったらこんな絵は描けないだろう」
その予言の通り、日本に帰ってから思い通りの絵が描けなくなって、日本画に転向しようかと思ったそうです。
油絵具というのは、西洋で西洋人を描くのにいちばん向いてるのかもしれません。
その後もがんばっていい作品を残してますが、滞欧作が圧倒的にいいと思いました。
「文化勲章」ということで、もっと客が多いと思いましたが少なかった。
一生をかけて、しっかりと、力強く歩んできた人、という感じで、いい展覧会だったと思います。