冒険者というのは、あえて危険を冒す人のことですね。
危ないとわかっているところへ飛び込んでいく。
私はちがいます。
といって、石橋をたたいてなお渡らないというような慎重派でもない。
危険に気付かずひどい目いあうほうだと思います。
とくに、欲に目がくらんでというごく一般的パターンが考えられます。
ウチにマッサージ器があります。
小型棒状のもので、スイッチを入れると、意外に大きな音で「グイ〜〜ン!」と振動する。
先日、はなちゃんにスイッチを入れて見せたら、音に驚いて顔色を変えて逃げていって泣き出した。
家内に報告したら、家内はすでに何度もはなちゃんをおびえさせて喜んでいたのであった。
なんちゅうばあちゃんだ。
きょう、ゆうちゃんが来ました。
暴れん坊将軍ゆうちゃんがどんな反応を見せるかやってみました。
マッサージ器を取り上げたとたんに、はなちゃんは顔色を変えて逃げて行きました。
スイッチを入れたら、グイ〜〜ン!と音が鳴り響きました。
ゆうちゃんは一瞬きょとんとしていた。
お!さすが暴れん坊将軍、いい度胸だと感心したんですが、次の瞬間、わっと泣きだしました。
あわててスイッチを切る。
いかに天下御免の暴れん坊総軍とはいえ、この「グイ〜〜ン!」という音は恐ろしいのか。
かわいいもんだなと思ったら、次の瞬間、ゆうちゃんはマッサージ器めがけて突進してきた。
ええっ!?
どうなってるの?
こわいんじゃないんですか。
またスイッチを入れる。
グイ〜〜ン!
また顔色を変えて泣き出すゆうちゃん。
泣きながら、マッサージ器を求めて突進、手を伸ばしてくる。
こ、これはいったい・・・?
「怖いもの見たさ」というやつですか。
「怖いもの知らず」というやつですか。
怖い、危ないとわかってても近づきたいんですか。
生まれながらの冒険者なんですか。
マッサージ器でグイ〜〜ン!と肩をマッサージしながら、ゆうちゃん、怖いと思うものには近づかないでおくれと願うじいちゃんであった。