若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ヘールト・マック『ヨーロッパの100年』

やっと読み終わりました。

しんどかったです。
上下二冊の大作だからということじゃなく、内容がしんどかった。

国というのか民族というのか、まあ人間同士が殺しあった100年の記録です。
これを読んで、「ヨーロッパ共同体」を目指した人々の切実な気持ちが理解できました。

人間、いつの時代に生まれるのか、どこに生まれるのかで、大変なちがいです。
虫けらのように殺されたかもしれないし、憎悪に燃えて殺しまくってたかもしれない。
恐ろしい本ですが、見事な出来栄えだと感心しました。

若いころは、100年というと、すごく昔と思いましたが、今ではそうは思いませんね。
「100年前」というと、大正時代の始まりです。

100年と少し前には、ドイツ人、フランス人という意識を持った人はそう多くはなかったそうです。
ドイツ語を話すドイツ人、フランス語を話すフランス人もそう多くなかった。

そこから一気に「国」を固めて、固まりすぎたというので「国」をゆるめてるのが今のヨーロッパでしょうか。
「統一ヨーロッパ」というのはとんでもなくむずかしい夢なんでしょうが、ここまで来たことに敬意を表しますし、今後ますますのご発展を祈念致します、という気分になりました。

料理教室で知り合ったルーマニア人女性と話したことがあります。
ルーマニアはビンボーだと言ってました。
自分の家もビンボーだと言ってました。
ビンボーなので、一年に一頭しか豚を殺せないと言ってました。
その日が楽しみだったそうです。
ヨーロッパ共同体に参加してから、各家庭で豚を殺すのは禁止されたそうです。
内緒でやってるそうですが。

パリやアムステルダムでダメなことは、ルーマニアの田舎でもダメ、というのが「統一ヨーロッパ」の一つの例ですね。
難しいもんです。

この本には、立派な人もえげつない人も出てきます。
ルード・ルベルスというオランダの元首相が登場します。
立派な人だと思いました。
私と同じ年です。
30歳過ぎで財務大臣になって、40過ぎで首相になって10年以上の長期政権を担いました。

感心してインターネットで調べたら、この人は国連難民高等弁務官をセクハラ疑惑で辞任してました。
う〜む・・・。

第二の感想。
エライ人はふつうの人のことなんか考えてませんね。
国や民族や世界のことを考えてる。
そういうことを考えるからエライ。
しゃあないですね。