若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

シベリア抑留

「シベリア抑留」というのは、子供のころから身近な話題でした。

伯父(母の兄)が、シベリアに抑留されてたんです。

「伯父さんは、満州鉄道新京機関区長というとてもえらい人だったけど、捕虜になってシベリアに連れて行かれてひどい目にあった」という話を母から何度も聞かされた。

そのシベリア抑留の実態が明らかでないという記事は何度も読みました。
政府が、明らかにしようと努力してない、ということでした。

今日の朝日新聞に、関連記事が出てました。
政府が、シベリアなどで死んだ捕虜について新たに発表したということです。

こういうシベリア関係の記事を読むたびに、「国ってなんだろうか。国の仕事ってなんだろうか」と考える。

30年ほど前、『捕虜』という本を買いました。
著者は、パウル・カレルという人で、第二次大戦で捕虜になったドイツ人のことを書いてある。

ドラマみたいな、捕虜収容所からの大脱走や、ドイツ人捕虜と住民の交流、捕虜虐待など、興味深い話がたくさん出てくる。

しかし、私にとって一番興味深かったのは、この本の成り立ちです。
この本は、当時の西ドイツ政府がまとめた、捕虜に関する調査資料をもとに書かれた本です。

調査したのは「難民、戦争被災者省」が設立した、「第二次大戦ドイツ人捕虜の運命記録のための学術委員会」で、その任務は、「戦時中に始まり、最後の復員兵が戻った1956年までに至る、最低20ヵ国に捕らわれていた1100万ないし1200万人の戦争捕虜の運命を、包括的かつ多面的に、ドイツ史の一部として把握すること」にあった。

調査開始は1957年、終了は1974年、調査結果は1万ページに及ぶ全22巻の資料としてまとめられた。

西ドイツ政府には、こういうことを考えた人がいたけど、日本にはいなかった。
いたかもしれないが実現はできなかった。

さびしというか、情けない話であると思います。