若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

NHKスペシャル「大海原の決闘!クジラ対シャチ」

テレビをつけてたら、NHKスペシャルが始まったのでなんとなく見てました。

なんとなく見始めたのであったが大変な番組であった。

「大海原の決闘!クジラ対シャチ!」てな、アクションものみたいなタイトルは困ったもんです。
そんな、手に汗握る!とか、どっちが勝つかとかいうようなもんじゃなかったです。

まあ、内容も三宅アナウンサーの語りも、ヘンにあおるようなものじゃなかったのでよかったですが。

冬になるとクジラたちがいっせいにベーリング海を目指すんですね。
世界のクジラのほとんどがベーリング海にやって来る。
何千キロの海を二ヶ月もかけてやってくる。

なぜか?
エサになるオキアミが大量に発生するんです。
クジラたちは、どういういうわけかそれを知ってるんですね。

で、クジラたちが大量にやって来る。

そのクジラを狙ってシャチたちもやって来る。
シャチがまたどういうわけかクジラが来るのを知ってるんですね。

子連れのクジラの子供を狙う。
こう書いただけでもシャチが凶悪なやつという気がしますが、映像を見ると、なんちゅうかもう凶悪どころじゃないですよ。

極悪非道!

か弱い小さな子クジラを、何頭ものシャチが襲う。
シャチが襲うのだから、かみつくんだと思ってました。

ちがいまっせ。
子クジラを沈めて窒息させるんです!
上から乗ったりしっぽに噛み付いて海中深く引きずり込んだり、凶悪極悪、鬼悪魔という感じです。

いや、シャチが残酷なんじゃない!
人間の方がよっぽど残酷だ!

われとわが身にこうとでも言い聞かせないと、とても見てられませんよ。

母クジラは我が子を必死に守る。
母クジラだけではありません。

コククジラの子供を種類のちがうザトウクジラが助けてやる。

感動的ですよ。
完全にクジラの味方になって見てました。
シャチのことなんか知ったこっちゃない。

さて、シャチの攻撃から逃れた幸運なクジラだけがベーリング海に入ってオキアミをたらふく食うことができる。

これはもう完全にたらふくです。
オキアミだらけです。
何十億とか何百億とか言ってましたが、誰が数えた?

クジラは口を開けて、がば〜〜〜〜っと食べる。
いただきますもごちそうさまもない。
がば〜〜〜!がば〜〜〜!

クジラの巨大な口に、何千何万何十万というオキアミが吸い込まれていく。
それを見ても何とも思わない。

さっき、子クジラが食べられそうになるのを胸が締め付けられる思いで見てたのに、オキアミが食べられる現場を目撃しても何とも思わない。

差別ですね。
オキアミだって同じ人間なのに。

いや、ちがうな。
同じアレなのに。

あれだけの大量のオキアミだから、母と子もいたはずである。
おじいさんとおばあさんもいたかもしれない。

それを、がば〜〜〜っと飲み込んでしまうクジラを凶悪とも極悪とも思わない。

シャチとオキアミに悪いなと思いつつ、NHKスペシャルを見終わったのであった。