妹からメール。
私の小学校の同級生のM君が亡くなったというので驚きました。
たしか四年生の時に同じ組だった人で、高校三年のときも同じ組だったけど、ぜんぜん親しくなかった人です。
私と彼は親しくなかったけど、妹どうしは小学校の時、仲が良かった。
卒業後しばらくして交流がなくなってたけど、いつだったか大阪のデパートで突然声をかけられて、妹たちの交流復活、といっても、年賀状の交換くらいでしょうか。
で、M君の妹から、「兄が七月になくなりました」という喪中はがきが来たのだそうです。
M君は、小学校の時勉強も良く出来たけど、絵がうまいので評判でした。
それも、蒸気機関車の絵ばっかり描く。
親しくなかったけど、いちど彼の家に遊びに行ったことがあります。
庭を汽車が走ってるのかと思うほどすぐ裏が線路でした。
母にそう言ったら、「それでMくんは機関車の絵が上手なんやね」と言いました。
そのときはなるほどと思ったけど、家の裏に機関車がいつも止まってるならともかく、走ってるというだけでうまく描けるもんでしょうか。
同じ組だったとき、彼が機関車の絵を描いたことがある。
私たちは机を取り囲んで見学してました。
誰かが、「うまいなあ!」と感嘆の声を上げました。
そのとき、M君がこういったんです。
「細工は隆々仕上げを御覧じろ」
私たちはボーゼンとしてしまった。
ボーゼンとして、誰も意味を聞くものはありませんでした。
なんか、大人びてるというか、孤高の人という感じでしたね。
小学生で孤高の人もないですが。
で、高校でいっしょの組になっても、話もしなかったと思います。
高校の時でおぼえてるのは、やはり同じ組だった美術部のAくんが、「Mが授業中ゴホゴホ咳をするけど悪い病気じゃないか」といったことです。
A君は、医学部に行っただけあって、誰の顔色が悪いとか、そういうことをよく言う人でした。
卒業後十年か二十年の頃、誰かから、M君が亡くなったと聞きました。
私は、「ゴホゴホ咳をしてたからなあ」と納得してしまった。
何かの間違いだったんですね。
妹にも伝えてたんで、「兄が亡くなりました」という喪中はがきに驚いたようです。
私も驚きましたが、死んだと思われてたと知ったら、M君も驚いたことでしょう。