成瀬巳喜男監督の『流れる』を、DVDで見ました。
1956年作品です。
ということは、私が10歳の時ですよ、『流れる』の予告編を見たのは。
何か映画を見に行ったとき、予告編を見たんです。
『流れる』???
けったいな題やなあ、と思ったことをおぼえてるんです。
幸田文さんの原作を読んだのは、二、三十年前でしょうか。
ドメニコ・ラガナという人の本を読んで、『流れる』を読む気になったんです。
ラガナさんは南米の人で、日本語を勉強してた。
かなり読めるようになってから、『流れる』を読んで、書き出しの文章が、何度読んでも理解できなかった、と書いてました。
それで読む気になりました。
なぜこれが理解できないのだろうかとも思ったし、なるほど、理解しにくいだろうなとも思いました。
中味は忘れてしまったけど、昭和30年代の日本は不潔だったんだなあという印象であった。
さて、映画です。
予告編を見てから56年ぶりで本編を見るというのも、オツなもんですな。
田中絹代、山田五十鈴、杉村春子、高峰秀子ほか出演というだけでも見ごたえありそうです。
が、栗島すみ子さん、圧倒的だと思いました。
戦前の大スターで、1935年に引退して、この映画が20年ぶりだそうです。
名前と顔は知ってましたが、「活動写真の人」と思ってました。
杉村春子や山田五十鈴よりカンロクがある女優がいるとは・・・。
いろいろ見てみるもんですね。
2時間、じっくり見ました。
栗島さんの登場を待ちながら。