Mくんの、焼き物の個展に行きました。
不思議な縁で知り合ったMくんとも長い付き合いになります。
彼の作家歴と同じくらい長い。
初めてカメラを持って行きました。
作品をとろうというのじゃなく、彼をとろうというんです。
Mくんは変わった男で、私がなんども肖像画を描いてやろうというのに、なかなかお願いしますと言わない。
変わってます。
人もうらやむ私の申し入れに対して、ありがとうございます!と飛びつくどころか、言を左右にするというか、しっぽをつかませないというか、のらりくらり、柳に風暖簾に腕押し、腹芸というか、蛇の生殺しというか、まあそんな感じなんです。
で、業を煮やしてカメラを持参したわけ。
写真をとって、それをもとに描いてやろう。
写真をもとに描くのは難しいんです。
家族は別ですよ。
たとえば、孫なんかは、じっとポーズさせるわけにはいかないけど、写真があれば描けます。
私の中にイメージが出来上がってるからだと思います。
で、長い付き合いのMくんだから、写真で描けるだろうと思いました。
で、会場で写真をとって、帰ってから見たら、残念ながら、私のイメージのMくんではなかった。
写真をもとに描くのはムリみたい。
私にとってMくんは家族同然の人ではなかったと、冷たく切り捨てたのであった。