ロス・キングという人の『レオナルドと最後の晩餐』を読んでます。
前から、「晩餐」という言葉に引っかかってます。
「最後の夕食」でいいんじゃないでしょうか。
レオナルド・ダヴィンチは、ミラノの支配者ロドリゴ・スフォルツァから、ドミニコ会修道院の食堂の壁に、「最後の晩餐」の絵を描くよう注文を受けた。
あまりうれしくない注文であった。
場所が気に入らなかった。
カトリック教会の世界で非常に力のあったドミニコ会修道院の食堂の壁のどこが気に入らん?
だって、そんなとこに描いて、誰が見る?
大教会の祭壇画や、広場の騎馬像なら、大勢の人に見てもらえるし話題にもなる。
修道院の食堂だと、見るのは修道士だけ。
それも、ドミニコ会ですよ。
厳しい禁欲、粗衣粗食で有名なドミニコ会。
食堂でしゃべることは禁じられていた。
黙々と食べるだけ。
それも、粗食ですよ。
どれだけ粗食かというと、壁画を頼まれた画家たちが逃げ出すほどの粗食だった。
自分達は粗食でも、画家には、近所のパスタ屋かピザ屋から出前を取ってやればいいと思いますが、気が利きませんね。
ふつうの画家は逃げ出すけど、当時大物だったギランダイオという画家は、「こんなまずいもん食えるか!」と、修道士にスープをぶちまけたそうです。
そのドミニコ会の修道院の食堂ですから、気が進まないのも無理はない。
でも、受けざるを得なかった。
当時40歳を過ぎていたレオナルドですが、悪評高かったそうです。
「仕事は遅いし、途中で投げ出す」
もっと派手な仕事をしたかったけど、しかたがなかった。
注文を受けたレオナルドが何をしたか。
聖書を買いに走ったそうです。
「最後の晩餐?う〜ん、聞いたことあるけど、なんだったかな?聖書読んでみよ!」
いや、そんなことはない。
「最後の晩餐」の絵は腐るほどあった。
腐るほどと言っては罰当たりですが、まあ、非常にたくさんあった。
完全主義者のレオナルドですから、状況をしっかり確認したかったんでしょうね。
まだ読み始めたとこなんで、完成までに何が起きるか楽しみです。