フェルメールの模写が完成しました。
先生が、「これくらいにしときましょうか」と言われたんです。
「完成」というより、「打ち切り」かな。
去年の5月に着手して以来ですから、やれやれです。
勉強になりました。
教室で水彩画を習ってるAさんは、ずっとほめてくれてます。
「そっくりですなあ!私なんか、ホンモノと言われてもわかりませんよ」
一流大学卒、一流企業定年退職の温厚な紳士Aさんに、まじめな顔でそう言われて、エヘヘと喜んでもいいのに、すなおにというかおめでたくというか、喜べないヘンにまじめな私が憎い。
教室ではいつも真剣なAさんが、いつになく真剣な顔で私を見た。
「ついに完成ですか。う〜ん、これは本物と言われてもわかりませんよ。500万円くらいで買う人がいるんじゃないですか」
「・・・Aさん、買ってくれますか」
「い、いや、わたしは・・・」