リーメンシュナイダーは、15世紀の終わりくらいから16世紀初めにかけて活動したドイツの彫刻家です。
学生時代に知って、なんとなく気になる人だったんですが、改めて作品を見たいと思って、英語版の作品集を買いました。
ほかに何かないかと思ってアマゾンで探してたら、植田茂雄著『リーメンシュナイダーの世界』というのがあったので、即買いました。
なぜ即買ったかというと、48円だったからです。
この本のアマゾン最安値でした。
500円で出品してる本屋さんもあるし、2千円、1万円というのもある。
なぜ48円?
ぼろぼろの本かと思ったら、新品同様、きれいなもんでした。
ラッキー!と言いたいとこですが、そうでもなかった。
この本は二部に分かれてて、第一部が「リーメンシュナイダーとその時代」で、第二部は「リーメンシュナイダー紀行」です。
第一部は50ページほどで、これが私が読みたかったもの。
第二部は200ページほどで、著者が、リーメンシュナイダーの作品を求めてドイツ各地を旅する話です。
本の題が『リーメンシュナイダー紀行』なら買ってない。
本の帯には、「祈りと瞑想の造形を訪ねる魂の巡礼記」と書いてある。
「魂の巡礼記」は悪いけど読む気しません。
好きな人はいると思いますが。
たとえば、リーメンシュナイダーの作品のある教会に行ったんだけど、お坊さんが留守だった時のことが書いてある。
「雨が降り出して、雨傘を広げ、うらめしい想いで空を見上げ、教会の前に立っていた」というような文章は読みたくない。
何時間待ったか知らんけど、どうでもよろしい。
教会に入って写真撮ってくれたらよろしい。
旅の途中でホテルに泊まる。
「ホテルはハールブルクの山つづきの鬱蒼とした森にあり、夕方からナハティガル(小夜啼き鳥)が澄んだ寂しい声で、「チュフィ、チュフィ、ピリピリピリ、ピピ、クィクィクィ、キェキェ、ピュピュピュ」と夜通し啼きつづけた。」
どんな鳥やねん、夜通し啼きつづけられたらたまらんやろな。
ボンからの列車に乗ったときのことも書いてある。
「雪のせいで視界はなく、退屈な旅であった。私の前には北ドイツ出身らしい男が座っていた。無口で、話しかける糸口も見つけられない」
その人も著者を見て、「私の前には、東洋人らしい男が座っていた。無口で、話しかける糸口も見つけられない」と思ってたんじゃないでしょうか。
なにせ、50年くらい前の話ですから。
で、二人向かい合ってむっつりと列車に揺られてたら、雪が小降りになって、さっと夕日がさし、荒涼とした古城が現われた。
「『これはすばらしいじゃないですか』と思わず声を上げ、立ち上がると、北ドイツ風のくだんの男は『あなたは日本人ですね』と一言言ったきりだった。わたしは、彼を無視して窓を開けた」
な、な、なんで無視するの?
リーメンシュナイダーの紹介としては、まあいい本だと思いますが、私向きじゃなかった。