デイビッド・クリスタル著『文法には「意味」がある』という本を読んでます。
学校で文法だ嫌いだった私にとってうれしいことにイギリスでは昔から文法は評判悪かった。
100年以上前から「文法を何とかしなければならない」と考える人が多かった。
「英語は生きていて変化し続けているのに、文法学者は英語がまるで死んでいるかのように扱う」
「今学校で教えているような文法は百害あって一利なし」
で、ついに1970年代に入って学校で文法を教えるのをやめた。
大胆な決断であったが、すっかりやめてしまうのはまずいということになって1990年代に入って新しい文法教育が始まった。
その結果、2000年代に入ってまずいことが起こった。
子供は学校で文法を習ってくるのに、親は文法について知らない。
この事実に気づいて、よっしゃ!と飛び上がって喜んだのが出版業界です。
『正しい英語入門』みたいな本を出しまくった。
有名なジャーナリストやテレビで顔の売れてる人たちが勝手なことを書きまくった。
これが売れまくった。
各自勝手なことを書くから本によって矛盾することが書いてあるのは仕方ないとしても、1冊の中身が無茶苦茶なのもある。
サイモン・ヘファーという人は有名なジャーナリストであり歴史家でもあって、伝記を何冊も書いてるし一流新聞に連載を持っている。
立派な文化人である。
『正しい英語』という本を書く資格があるように思える。
『正しい英語』の中でへファーさんは受動態についてこう断言している。
「受動態は使うべきではない」
そして、使うべきでない理由を説明している。
説明するのはいいんだけど、説明するのに受動態を何度も使ってる。
受動態を何度も使ったあげく最後にまたこう言い切ってる。
「私は受動態を使いたがる人が理解できない」
こうなると受動態がどうの文法がどうのという話ではない。
言ってることとしてることがぜんぜんちがう。
口から出まかせである。
出版社も書かせっぱなしの出しっぱなしである。
日本と同じである。
やはりジャーナリストで『正しい英文の書き方』という本の著者ジョン・ハンフリスは「まず単純化せよ。次に誇張せよ」と書いている。
ジャーナリストの鑑である
これも日本と同じである。
日英同盟である。
というか、こういう点では世界はひとつ人類はみな兄弟。